企業が自社の製品やブランドをグリーン、サステイナブルと呼ぶための条件が大きく変わる。デンマークの消費者オンブズマンは最近、企業がグリーン・クレームを裏付けるためにライフサイクル分析(LCA)のような科学的な文書が必要になると新たなルールを定めた。製品を売るためにグリーン用語を悪用すると、100万ドルの罰金につながる可能性があると警告している。
つまり、デンマークで製品を販売する場合、ライフサイクルアセスメントなしに「グリーン」または「カーボンニュートラル」と呼ぶことはできない、というものである。
日本企業もサステナビリティを強調するマーケティング活動を強化している中、グリーンウォッシュを避けるための注意点として参考になるだろう。
背景
近年、消費者の環境意識への高まりから多くの企業は、「持続可能な行動」、「二酸化炭素排出量の削減」、「環境に優しい」、または同様の表現で、消費者に環境に配慮したビジネスを行っているという印象を与えている。しかし、これらの商品やサービスは本当にサステナブルと言えるのか、もしそうでないなら、見せかけエコのグリーンウォッシュとなる。
そんな中、デンマーク消費者オンブズマン(企業活動を監視し、国民の権利・利益の侵害に対する調査及び救済の勧告を図る公職)が、デンマークにおけるグリーンウォッシング撲滅に向けた道筋を改めて示した。
デンマークではすでに2014年に「環境及び倫理的主張の使用」に関するガイドラインを発表していたが、消費者オンブズマンは環境に焦点をあてたマーケティング活動に従事する際にどのように振る舞うべきかについて企業向けの新しい「クイックガイド」の発行を通じて、ルールを身近なものにした。
新しいガイドラインの中でも特に強調している部分を紹介していく。ルールは以下である。
企業のグリーンウォッシュを防ぐ新たなルール
①明確な表現と裏付け
他のマーケティング資料と同様、環境に配慮した資料も正しいものでなければならず、また、消費者が間違ったイメージを抱かないよう明確な表現でなければならず、重要な情報が省略されてはならない。
実際の状況について話す場合は、その内容を証明できなければならず、独立した専門家による裏付けがなければならない。
環境に優しいという一般的な発言の裏付けとして、完全なライフサイクル分析(LCA)の方法論を適用しなければなりません。
②環境または気候変動対策へのプラスの効果に関する一般的な記述
記述の根拠となる資料を提出する必要があるため「グリーン」、「気候や環境にやさしい」、「持続可能」といった特定の環境上の利点に言及しない一般的な記述や、花や草などの緑を使ったイメージ、環境にやさしい印象を与えるイメージをコミュニケーションで使用する場合にも、文書提出の義務が生じる。
消費者オンブズマンからの勧告は、一般的な記述は、環境に良い影響を与える具体的な詳細によって立証されることであり、環境に良い影響が本質的にわずかである場合は、環境に優しいことを伝えることは全く許されないと付け加えている。
一方で、一般的なエコ発言は、その製品が環境的に絶対的な「トップクラス」であり、市場の他の製品と比べて環境への影響が著しく少ないことを証明できる場合にのみ使用することができる。
さらに、消費者オンブズマンは、ポジティブインパクトの表現方法について、以下の4つの要件を追加している。
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