世界銀行大手の中で、脱炭素化の動きが加速化している。
エネルギー企業への大手投資銀行である米シティグループは、ポートフォリオに関わるCO2排出量を測定・開示、4年前倒しで社内の新規目標の達成、2025年までにサステナブルな活動への2500億ドル(約26兆円) の資金調達を目指していると発表した。この新たな目標には、クリーンテクノロジー、水の保全、持続可能な農業などのイニシアチブへの融資や推進が含まれている。
シティグループは2015年に、2023年までに1000億ドル(約10.5兆円)の持続可能な活動促を目指すと発表し、昨年までにすでに1640億ドル(約17兆円)の資金調達を行っていた。さらに、年末までに再生可能な電力のみを使用して自社施設に電力を供給することも視野に入れていることを明らかにしている。最近では、経済の化石燃料からの脱却を加速させるために、今後10年間で一般炭(石炭)採掘事業会社への金融サービスの提供を停止することを発表した。
また、モルガン・スタンレーは先月21日に2050年までに投融資ポートフォリオのネットゼロ・エミッションを達成を目指すことを明らかにした。金融に係るCO2排出量の測定・開示に関するツールや方法論がまとまっていないことを問題視し、それらの開発に尽力している。その一環として、投融資カーボンフットプリント算出基準策定機関(PCAF)の運営委員会に参加している。
大手銀行がグリーンファイナンスにおける将来の長期的ゴールを設定するのは歓迎されるが、足元の環境負荷の高い事業者への支援状況、そしてそれらのクライアントのビジネスモデルの脱炭素化に向けた積極的なエンゲージメントが今後求められるだろう。
参考リンク:
Bloomberg Green:Citi to Start Measuring How Much Carbon Emission Comes From Its Loans
Morgan Stanley:Morgan Stanley Announces Commitment to Reach Net-Zero Financed Emissions by 2050