世界的ビールメーカーのバドワイザー・ブルーイングのアジア太平洋支社(Budweiser Brewing Co. APAC Ltd.)は、アジアの上場消費財企業としては最大規模となる5億ドル(約6百億円)のサステナビリティ・リンク・ローンを確保した。
香港の上場企業であるバドワイザーAPACの発表によると、中国銀行を中心としたコンソーシアムによる3年間の回転信用枠(Revolving Credit Facility)は、気候変動対策、水質、パッケージリサイクル、スマート農業などのサステナビリティ目標達成に連動した金利が設定されているという。
今回の融資は主に4つの分野に使われると言う。
1.気候変動対策
中国の武漢地域の醸造所が2021年末までにカーボンニュートラルを達成をできるように取り組む。これは、親会社のアンハイザー・ブッシュ・インベブの全醸造所の中で世界初のこととなる。中国の3つの醸造所はすでにRE100を達成し、アジア太平洋地域ではすでに11の醸造所にソーラーパネルを設置している。
2.ウォーター・スチュワードシップ
「水がなければビールもない!」という信条のもと、バドワイザーは水の確保に注力する。バドワイザーは、世界で最も人口の多い2つの国である中国とインドを中心に、水ストレスの大きい地域での水の供給と質の向上に投資してきた。中国では、「Water Return Community」プログラムを開始し、2020年には約1,700万ヘクトリットルの再生水を事業所からコミュニティに還元した。同社は、2020年にインドのリスクの高い流域で1,000万ヘクトリットル以上の累積水の再利用を創出した。
3.循環型パッケージング
バドワイザーは、Reduce、Reuse、Recycle、Rethinkの戦略を継続している。韓国では、業界で初めて、箱のパッケージを100%リサイクル素材で製造している。このような循環型パッケージングの使用量を増やす計画を立てている。
4.スマート農業
バドワイザーは、デジタルソリューションを通じて、2020年末までに直属の農家の92%がスキルを身につけ、100%が接続され、83%が経済的に力をつけていることを確認しているという。
また、バドワイザーAPACは、2025年サステナビリティ目標と「Dream-People-Culture」の原則に沿って、D&Iイニシアチブ、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、職場の福利厚生などのベストプラクティスを含む、社会・コーポレートガバナンスのための明確なロードマップを持っている。このロードマップは、アジア太平洋地域における長期的な価値創造のための持続可能な開発と行動を統合したものだ。
今回の取引は、アジア地域でESG投資が定着しつつある中、飲料メーカーの中でもサステナビリティに関連したローンの需要が高まっていることを物語る。
参考リンク
https://markets.businessinsider.com/news/stocks/bud-apac-closes-first-green-financing-loan-of-usd500-million-to-incentivize-and-accelerate-its-esg-performance-1030596277
https://www.morningstar.com/news/dow-jones/202107124138/budweiser-brewing-co-apac-secures-500-million-green-loan