脱化石燃料や脱炭素に向けて、今まさに注目されているのは、持続可能な代替燃料だ。
特に注目なのは、新興国 や 発展途上国で取り組まれているバイオ燃料で、人口増加、都市化の進行、インフラ開発などのいくつかの要因が重なり、今後数年間エネルギー需要が増加し続けると国際エネルギー機関 (IEA)は予測する。
農業残渣や非食用作物などからできたバイオ燃料
その一つ、イタリアの石油会社Eniが2021 年の初めに開発したバイオ燃料の取り組みは興味深い。
Eniは、アフリカ大陸のさまざまな国で共同イニシアチブを開始、新しい循環型経済モデル に基づく 高品質のバイオ燃料サプライチェーンを開発している。このバイオ燃料は、食用作物や飼料用作物と直接競合しない農業残渣や非食用作物、放棄された土地で開発された原材料などから製造されている。非食用作物であるトウゴマやクロトンは、干ばつに強く劣化した土壌でも生育でき、食物連鎖と競合しないため、持続可能な農業原料と言える。
アフリカ大陸の中ではケニアが先進的に取り組んでいる。パリ協定に署名しており、2030 年までに温室効果ガス排出量を 32%削減するとしている。Eniは2021年に約 25,000 の農家に種子を供給し、ヒマシ油をつくるプロジェクトがスタートした。プロジェクトの第一弾として年間約 3万トン、第二弾として年間 20万 トンの植物油の生産量を見込んでいる。Eniは複数国とMOUを結んでおり、持続可能なバイオ燃料の製造拡大を図っている。
スタートアップが手がけるバイオ・エタノールストーブ
もう一つ注目なのは、バイオ・エタノールストーブを開発・販売するスタートアップ企業、KOKO Networksだ。
アフリカでストーブの燃料として使われている木炭は、アフリカの森林破壊の主な要因であり、呼吸器疾患を引き起こす可能性もある。木炭や薪などの固形燃料を使用する調理は、推定 8 億 5000 万から 9 億人を危険にさらしている。世界銀行によれば、毎年 50 万人以上のアフリカ人の命を縮めていると推測されている。
主に砂糖の副産物から作られているKOKOのバイオ・エタノールストーブは、これら問題の解決策になるというわけだ。しかもKOKOの燃料は、木炭よりも価格が40%も安いと同社の共同設立者兼最高経営責任者である Greg Murray 氏は語る。
KOKOのイノベーションは、
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