保険会社スイス・リーは世界の5分の1の国において、野生生物やその生息地が破壊され、生態系が崩壊する危険性があるという認識を示した。
生態系と経済活動を関連付けた指標が発表されたのは初となる。企業や政府が生物多様性や生態系を経済的な意思決定に組み入れられるようにする狙いがある。
スイス・リー・インデックスは、清潔な水と空気、食料、木材、受粉、肥沃な土壌、砂防、沿岸保護の提供、および生息地の無傷性を分析したものだ。脆弱な生態系を持つ国の面積が30%以上ある国は、生態系が崩壊する危険性があるとしている。
G20の主要経済国の中では、南アフリカとオーストラリアが最もリスクが高いとされ、中国が7位、米国が9位、英国が16位となっている。国土面積の30%以上が無傷の生態系となっている国は7カ国に1カ国にとどまった。
すでに生態系が破壊されつつある事例もある。オーストラリアの世界自然遺産グレートバリアリーフでは、温暖化に伴う海水温の上昇による白化現象が原因で、サンゴ礁の個体数は過去30年間で半減している。岩礁観測の専門家であるディーツェル氏は、サンゴ礁の減少により生態系が劇的に変化すると警鐘を鳴らした。生態系を回復できるか否かは、今後の気候変動や環境破壊を防げるかにかかっているという。
企業のESG格付けは、CO2排出量や気候変動対策に加え、生態系や生物多様性へのインパクトが重要な評価指数になるだろう。
参考リンク
Guardian:Fifth of countries at risk of ecosystem collapse, analysis finds
ABC News:Great Barrier Reef coral halved by bleaching, climate change, report finds