2020年8月12日、国際シンクタンク・戦略コンサルタント会社のGlobeScanとSustainAbilityは「2020年リーダーズ調査」を発表した。この調査では、例年に引き続き、ユニリーバ(1位)、パタゴニア(2位)、イケア(3位)、インターフェイス(4位)、ナチュラ(5位)をサステナビリティリーダーとして高く評価している。さらに、今年はマイクロソフト、オーステッド、ロレアル、タタの4社が新たに加えられた。日本企業は見当たらない。
リーダーズ調査とは、1997年以来世界の専門家に対し、サステナビリティの論点の進化についての意見、リーダーと考える企業とその理由について追跡調査しているものである。今年は71カ国700人以上の専門家に対し、サステナビリティを事業戦略に組み込むリーダー的存在だと考えられる企業の名前を聞き込み調査をした。
ビジネスモデルの中核における持続可能性の重視、野心的な目標設定、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献はこの調査で高評価を受ける要素である。また、世界がパンデミックに直面する中で、健康、社会的関与、人権に関する取り組みは、持続可能性のリーダーシップを定義する重要な評価基準となっている。
GlobeScanのCEOであるクリス・コールターは、今年新たに4社がサステナビリティ・リーダーとして認められた点に注目すべきだと言及。この結果はリーダーシップへの期待が変化している表れであり、前代未聞な状況下でサステナビリティ・リーダーシップが新しいアプローチの可能性を秘めていることを示している。
企業の回復力はESGと革新的なビジネスモデルに依存
新型コロナウイルスの感染拡大COVID-19を受け、今回の調査では、将来の衝撃に耐える回復力と能力の向上ために民間部門がすべきことが明確になった。専門家は企業に対し、ESGを最優先するほか、ビジネスモデルの再考、事業継続性とリスク管理の確保、サプライチェーンの変革を訴える。さらに、環境問題に再び焦点を当てることになるとの見解を示している。
日本企業がランキングしないわけ
この調査で日本の企業名は見当たらない。その理由に、スピード感のある変革が困難な雇用体系が考えられる。ジョブ型雇用形態を採用する国外の企業の場合、構成員が交代するため、企業の制度や体制を改革しやすい。しかし、メンバーシップ型を採用する日本企業においては困難である。過去に成功を収めた企業では、成功した事業を推し進めた者が現在でも企業内で重要な地位を占めている場合が多い。彼らは、企業のビジネスモデルを大きく変化させることに対して、慎重になるだろう。*
コロナ禍が日本のビジネスモデルをサステナビリティ・ESGへの方向に導く起爆剤となるのか、今後注目したい。
参考記事:
グローブスキャン:https://globescan.com/unilever-patagonia-ikea-interface-top-sustainability-leaders-2020/
*現代ビジネス:ビジネスモデルの歴史的大転換に、日本だけが取り残されている