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野村ESGファンド ラインナップを紹介

先月、野村証券は新しく「ESG商品ラインナップ」を新設した。このラインナップは「環境全般」「医療全般」「水全般」「全般」の4つに分類されている。その中6本の投資信託を紹介する。

目次

環境全般

野村ブラックロック循環経済関連株投信(愛称:ザ・サーキュラー)

こちらは、8月24日に新設されたばかりのアクティブ型のファンドだ。新興国を含む世界各国の金融商品取引所に上場している企業の株式を主要投資対象とし、米ドル売り円買いか為替ヘッジなしかを選択できる。名前の通り、米国・ニューヨークに本拠地を置く、ブラック・ロックが運用しており、年2回決算時期を設定している。投資対象として「変化に対応する企業」「変化を促進する企業」「変化の恩恵を受ける企業」の3分野を設定し、下図のように2段階に分けて選定している。

(出処:野村証券)

「ブラックロック・グローバル・ファンズーサーキュラー・エコノミーファンド」と「野村マネー マザーファンド」の複数のファンドを投資対象とする、ファンド・オブ・ファンズ方式を採用している。新設のファンドとして、パフォーマンスの履歴は存在しないが、信託報酬(運用管理費)は1.83%である。

ピクテ・エコ・ディスカバリー・アロケーション

ピクテ投信投資顧問株式会社によって運用されており、主に世界の環境関連企業の株式への投資を掲げている。ポートフォリオの上位10銘柄を見ると、再生可能エネルギー関連やエコ・ロボティックス関連が多い。しかし、商品説明資料や目論見書に具体的な選定方法についての記載はなく、透明度が高いとは言えない。

(出処:PICTET)

明記為替ヘッジの有無、毎月決算型か年2決算型かを選択することができる。ピクテ・エコディスカバリー・アロケーション・マザーファンドとのファミリーファンド方式を採用している。年間リターンは約35%と高く、信託報酬は1.8%である。分配金は、預貯金の利息とは異なり、投資信託の純資産から支払われる。そのため、分配金が支払われるとその金額相当分基準価額は下がる点に留意する必要がある。

(出処:Morningstar)

医療全般

野村ACI先進医療インパクト投資

アメリカン・センチュリー・インベストメント・インクに運用が委託されている。世界各国の先進医療関連企業を対象にインパクト投資を実施するファンドである。ここでの先進医療関連企業とは、製薬、バイオテクノロジー、医療機器、医療・健康サービス関連企業などのうち、先進的な技術の発展・開発や先進的な医療サービスの提供に寄与する、もしくは恩恵を受ける考えられる企業などを指す。ポートフォリオ構築プロセス下図のようになっている。先進医療関連企業の中から、成長加速度、財務状況などを加味した定量的なポジティブスクリーニングを実施した上で、専門チームによってインパクト投資やESGの観点を含めたファンダメンタルズ分析を実施している。

(出処:野村アセットマネジメント)

分配頻度や為替ヘッジの有無の異なる4つのコースから構成されており、ファミリーファンド方式を採用している。すべてのコースにおいて、1年間のリターンは約20%となっている。信託報酬は1.82%だ。

(出処:Morinigstar)

水全般

野村アクア投資

野村信託銀行株式会社が運用する、世界の水関連企業を対象にしたファンドだ。高い成⻑が期待される水に関する投資分野に沿った事業を行なう企業の中から、ボトムアップでの調査・分析により、サステナビリティ、バリュエーション、 流動性等の観点を踏まえて銘柄を選定している。

(出処:野村アセットマネジメント)

ファミリーファンド方式を採用しており、為替ヘッジの有無を選択できる。決算は年2回実施される。こちらの年間トータルリターンはそれぞれ18.09%、20.44%となっている。信託報酬は1.76%だ。

(出処:Morinigstar)

ワールド・ウォーター・ファンド

世界企業を対象にした、みずほ信託銀行株式会社が運用を行うファンドだ。水質の改善・浄化を行なう上下水道事業などの企業、ミネラル・ウォーターの製造・販売企業、汚水や廃棄物の処理を行なう企業 、これら水関連事業に関する装置の販売・コンサルティング等を行なっている企業に加え、空気汚染調査事業や空気清浄装置や自動車の触媒コンバーターの製造・販売といった空気関連企業に投資している。これらの中から、高い成⻑や安定した収益が期待される企業の株式を軽量スクリーニングをした上で、ボトムアップの観点で調査・分析し、バリュエーションを勘案して投資銘柄を選定している。

(出処:野村アセットマネジメント)

ファミリーファンド方式を採用し、年1回決算時期を設定している。年間リターンは11.36%と、他のファンドに比べると高いとは言えないだろう。信託報酬は1.87%である。

(出処:Morinigstar)

全般

世界インパクト投資ファンド 愛称:Better World

こちらのファンドは以前のブログでも紹介した。ウェリントン・マネージメント・カンパニー・エルエルピー社によって運用されている。ファミリーファンド方式を採用し、銘柄選定にあたり、「衣食住の確保」「生活の質向上」「環境問題」の3つのカテゴリーの中で、それぞれ3~4種類のテーマが設定されている。また、以下の図表にある投資先銘柄を絞り込む基準に「インパクト事業への集中度・事業比率」や「インパクトの定量評価」などを明確にしている。年間リターンは13.78%、信託報酬は1.98%だ。

(出処:Morinigstar)

まとめ

「ESG投資」といっても、テーマや選定方法はファンドによって様々だ。そして、証券会社によって販売する商品のラインナップは異なる。幅広い運用会社の商品を取り扱うネット証券の中、SBIネオモバイル証券マネックス証券楽天証券 は参考になるだろう。

野村が今回新たにラインナップをリリースしたように、今後もESGを重視した投信が増えるだろう。投資家としては、幅広く証券会社の取り扱い商品を対象に、それぞれのファンドの運用目的や方法の違いを見極め、過去の実績と将来性を視野に賢く投資したいところだ。

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