アメリカシカゴに本社を構える総合不動産サービス大手、JLLは自社の建物において2030年までに二酸化炭素排出実質ゼロ達成を公約し、世界グリーンビルディング協会(WorldGBC)が提唱するネット・ゼロカーボンビルディングコミットメント(The Net Zero Carbon Buildings Commitment)に署名した。
このコミットメントは、2018年9月13日に開催された世界気候行動サミットにおいて開始された。以来、署名数は年々増え続けており、80カ国以上の資産や事業を展開している。
JLLは2019年9月、世界グリーンビルディング協会が提唱するNet Zero Carbon Buildings Commitmentに、不動産サービス会社の在英拠点として初めて署名した。
以下はイニシアチブの5つの活動である。
- 2030年までにJLLが所有する建物においてネット・ゼロカーボンを達成
- エネルギー・二酸化炭素排出量を管理・分析し、JLLグローバル サステナビリティ レポートにて開示
- 既存、新規ビルにて省エネ対策を講じる:電気、低エミッション(低排出ガス)、代替燃料自動車の導入、オフィスでの再生エネルギー活用、グリーン電力証書の購入
- 国際的な基準に沿い、拠点、ポートフォリオ単位でScope1(事業者自らによる温室効果ガス直接排出)、Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)排出量、エネルギー消費量を検証
- 顧客や協力会社へのネット・ゼロカーボン推奨、政策担当者への働きかけ、業界全体にむけての活動時実施
以前のブログでも取り上げたように、不動産を含む商業・サービス・事務所などを含む業務・その他部門のエネルギー消費は膨大である。資源エネルギー庁の調査によると、この部門は、日本の最終エネルギー消費全体の約62%を占めている。ネットゼロカーボンビルディングを推奨すると宣言した東京都を除いて、日本の不動産、建設企業による2030年までの野心的なネットゼロ宣言は見当たらない。今後、JLLのようにこの分野から率先していち早く炭素ゼロを目指す企業が現れるのを望む。
参考リンク:
World Green Building Council:The Net Zero Carbon Buildings Commitment
joneslanglasalle.co.jp:JLL、2030年までに二酸化炭素排出実質ゼロ達成を公約