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国内最大のESG関連ETFに1100億円超の出資

北欧フィンランドの機関投資家が、ブラックロック・ジャパン株式会社の新しい脱炭素化への移行に着目した上場投資信託(ETF)に8億ドル(約1100億円)の大口投資を行った。

国内最大のESG関連ETFに1100億円超の出資

ヘルシンキに拠点を置く大手年金基金イルマリネンは、米国に上場している「iシェアーズ・クライメート・コンシャス&トランジションMSCI USA ETF(UCL)」に21億ドル(約3000億円)、東京証券取引所に上場した「iシェアーズ MSCIジャパン気候変動アクションETF(2250)」に8億ドル(約1100億円)の出資を行い、サステナブル投資への積極的な姿勢を示した。

イルマリネンは、投資戦略の基礎となるMSCI気候変動アクション・インデックスの開発に貢献しており、温室効果ガス排出量、排出削減目標、グリーンビジネス収益、気候変動リスク管理などの気候変動への配慮に応じて、各セクターの上位半分の企業を選定している。同基金は、ETF投資において気候変動を重視する姿勢を強めていく方針で、実際、パッシブ株式ポートフォリオの85%以上が気候変動に焦点を当てた戦略で運用されている。

サステナブルETF市場は拡大傾向にあり、世界の資産残高は2023年4月末時点で4,300億米ドルにのぼっている。特に欧州においては ETF 全体の資金流入額の約5割を占め、市場が急成長している。

脱炭素化への移行に着目した日本株式ETF

2023年6月8日に東京証券取引所に上場したiシェアーズ MSCIジャパン気候変動アクションETFには、大きく4つの特徴がある。

  1. セクターを一律に除外しない

脱炭素経済の実現に必要な投資の大半が炭素排出量の多い産業に集中していることを念頭に、このような高排出セクターを一律に除外しないセクターニュートラルなアプローチを取っている。

  1. 将来に向けた取り組みも評価

現在の炭素排出量が高くとも、削減目標を定めている、グリーンビジネスの売上・収益が大きい、または気候リスクの管理スコアが高いなどの場合には、評価を高める仕組みを導入。

個別銘柄の評価及びランク付けに、個々の銘柄でSBTi認定(*1)の削減目標、または過去3年の平均の削減幅がセクター間で上位25%かつ削減目標を設定している銘柄はスコアが上がる仕組みとなっている。

(*1)SBTi(Science Based Targets initiative)とは、科学と整合した温室効果ガスの削減目標を企業が公的に宣言・設定・実行していくことで「パリ協定」で掲げた「世界の平均気温上昇を2°C未満に抑える」という目標を達成するための取り組みである。

  1. 分かりやすい指数設計

当ETFの連動指数は時価総額加重平均によって算出される。指数構成銘柄、除外銘柄の基準が定量的に定められているため、銘柄選択理由やウェイト付けが分かりやすい。

具体的に、不祥事スコア、事業スクリーニングなどの該当銘柄を除外する方針が目論見書で記載されている。事業スクリーニング項目には、不祥事、タバコ、非人道的兵器、核兵器、燃料用石炭、オイルサンドが除外対象となる。ACWI IMI指数(2*)の構成銘柄で炭素排出量がもっとも多い5%の銘柄も除外する。但し上位5%であっても、SBTiが認定した削減目標を設定している銘柄は適格要件を付与。また、セクター毎に気候変動リスク管理スコアが下位4分位企業(25%)を除外することが明記されている。

(2*)MSCI ACWI 指数は、先進国23ヵ国および新興国24ヵ国に上場する大・中・小型株を対象にしたインデックスである。

  1. 低コスト

信託報酬は年0.088%以内(税込)と国内株式ETFの中でも低い水準で、純資産残高に応じて信託報酬率がさらに低下する仕組みを採用

脱炭素社会への移行による投資機会

脱炭素社会への転換プロセスは、リスクへの対応が求められる一方で、新たな技術やビジネスモデルに大きな投資機会が生じるため、経済全体が再構築される。このような社会の構造変化に対処できる投資手法として、ブラックロック株式会社はサステナブル ETF ラインナップの拡充を進めており、世界のETF市場における「iシェアーズETF」のシェアは、31.5%と世界最大である(*3)。

東証によると、国内の上場株に投資するESG(環境・社会・企業統治)関連のETFは全部で12本。純資産残高が数十億円規模のものが多いなか、「iシェアーズ MSCIジャパン気候変動アクションETF」の純資産残高は6月12日時点で約1220億円と、国内のESG関連ETFで最大である。(*4)

組入銘柄上位10社

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