世界規模の情報開示システムを運営する、英国の慈善団体が管理するNGOであるCDPが2020年の「Aリスト」を公表した。国別のランキングでは、日本企業の66社がAリストにランクインし、その数は世界トップとなった。
「Aリスト」は、気候変動、森林、水の安全保障の3つのテーマに関するアンケート調査をCDPが数千社を対象に実施し、年次開示に基づいた環境への透明性の高さと取り組みに優れた企業を紹介している。
開示内容の詳細さや網羅性、気候変動問題に対する企業認識や管理方法、気候変動への取り組みの進捗状況などをスコア対象として評価している。
今年はアストラゼネカ、ダノン、ファーメニッヒなどの300社以上の企業が選出。CDPが評価する3テーマすべてでAスコアを獲得した企業は昨年の6社から10社へと、45%増加する結果となった。これを受けて2020年に向けてビジネス界の環境意識が高まっているとCDPは分析。具体的には、ダノン(仏)、フェルメニッヒ(スイス)ヒューレット・パッカード(米)、ロレアル(仏)、フィリップモリス(米)、シムライズ(独)、モンディ(英)、UPM(フィンランド)、日本からは花王と不二製油グループが初めてランクインした。
Aリストに掲載された企業の本社がある国別のランキングは、日本(66)、米国(58)、英国(21)、ドイツ(19)、フランス(18)となった。気候変動のテーマでAリストにランクインした日本企業は53社に上り、幅広い部門を代表する三菱電機、コマツ、積水化学、大和ハウス、キリン、リコー、富士通、NTT、トヨタ、三菱他所など、そして金融業からは野村とMS&ADグループを含む。
このリストでの国別ランキングで1位になった日本だが、環境への取り組みを世界的に牽引していると安堵するにはまだ早いだろう。今回のCDPスコアが高かったことは情報開示の質は確実に向上している証拠である一方で、他の調査やレポートによれば高い評価を受けているとは言えず、日本企業の環境保全対策のさらなる見える化を期待したい。投資先を決定する際は、複数の情報を参考にした多角的な判断が必要だ。
参考リンク:
Companies worth $15 trillion revealed on CDP 2020 'A List' of environmental leaders