【COP28連載⑤】米中の気候変動合意、再エネを30年までに3倍に
11月15日に行われたアメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談が行われた。*1 首脳会談に先駆け、ジョン・ケリー米国気候担当大統領特使と謝振華中国気候変動担当特使は、気候変動対策に関する米中共同声明を発表した。*2 その共同声明の主な内容について取り上げる。 両国は、停止していた気候変動対策を話し合う作業部会の再開、メタンガス削減などの協力関係を強化することを発表し、パリ協定の目標達成に向けて世界を動かしていく意思を見せた。さらに2030年までに世界の再生可能エネルギーの導入量を3倍増 ...
【COP28連載④】EU議会、2025年までに化石燃料補助金を世界的に廃止するよう要求
EU議会は、パリ協定の実施状況を検証する国連気候変動会議COP28に向けた要求事項を採択した。 賛成462票、反対134票、棄権30票で採択された同議会決議は、国連気候変動会議COP28に向けたEUの戦略的目標をまとめたものである。 同決議案は、「できるだけ早く、遅くとも2025年までに」、国レベル、EUレベル、世界レベルで、すべての直接的および間接的な化石燃料補助金の廃止を求めている。 また、2030年までに再生可能エネルギーを3倍、エネルギー効率を2倍にするという世界的な目標を支持するとともに、化石燃 ...
【COP28連載③】世界の化石燃料生産計画、パリ協定と矛盾する
11月8日、国連環境計画(UNEP)などが2023「生産ギャップ報告書」を発表した。*1 報告書によれば、2030年時点での化石燃料生産量の予測は、パリ協定の1.5度目標を達成するシナリオ値の2倍であり、適切かつ公平なエネルギー転換に疑問が生じている。今月末、11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が実施されるが、化石燃料の段階的な廃止がどのように各国首脳らに議論されるか注目される。 「生産ギャップ報告書」とは この報告書は2019年に初めて ...
【COP28連載②】世界のCO2排出量は2030年までにわずか2%減少 - 国連
国連は11月12日に発表した最新の報告書で、各国の気候変動対策計画では、2030年までに二酸化炭素排出量を2019年のレベルからわずか2%削減すると推定し、温暖化を1.5℃に抑えるために必要な43%の削減にはほど遠いと警告した。 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の事務局長サイモン・スティール氏は、毎年恒例の気候変動に関する評価で、世界はパリ協定の目標達成から「大きく外れている」と指摘し、今月ドバイで開催される国連気候変動会議(COP28)で、すでに増加する洪水、熱波、暴風雨に悩まされている世界にとっ ...
COP28連載①:IKEAやボルボを含む130社が化石燃料の段階的廃止を要請
IKEA、ボルボを含む130以上の企業が、各国政府の首脳に対して、化石燃料の段階的な廃止を求める共同書簡を発表した。*1 11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで行われる国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC COP28)では、各国首脳らが気候変動対策を巡って議論するが、それに先立つ気候変動に対する世界的な取り組みの一環として注目を集めている。 大企業が一団結して動き出す 2023年10月23日、ボルボ、IKEA、ユニリーバ、ネスレ、アストラゼネカを含む130以上の企業が、今後の ...
気候テック投資、四半期で63%急増
テクノロジーで気候変動対策に取り組む「気候テック」企業は、この2年間で最も資金調達に成功した四半期となり、脱炭素化や低炭素化に取り組む様々なスタートアップに対して166億ドル(約2兆4800億円)の投資を獲得した。 2023年第3四半期(7−9月)を対象とし、11月2日に発表されたブルームバーグ・ニューエネルギー・ファイナンス(BNEF)のレポートは、エネルギー、運輸、建設、産業、農業など様々な分野にまたがる気候変動対策に資する技術の包括的なレビューを提供している。また、それらの分野への投資も追跡しており ...
リチウム vs ナトリウム、次世代電池🔋の勝者は?
現在リチウムや他の電池材料の供給が限られており、価格も高いことから、代替電池の研究が進められている。ナトリウムイオン電池は、現在最も開発が進んでいる技術のひとつであり、近い将来、多くの用途で実用できる可能性がある。しかし、新しい電池技術の商業化を成功させるには何年もの研究が必要である。それに加えて需要が加速しているため、中期的な将来には電池が不足するリスクがある。 ナトリウムイオン電池技術は商業的に利用可能 中国の寧徳に本社を置く世界最大級のリチウム電池メーカーであるCATL*1は、乗用車用EVに使用され ...
フォーブス:2023年のESGファンド、ベスト8選定
投資先企業を選定する際、企業の財務状況や業績などの株価に影響を与える基本的な要素とともに、投資先企業の社会的・環境的影響を考慮するESG投資ファンドは爆発的な人気を博している。米国を中心に「反ESG」の動きも見られる一方で、一般投資家のESGファンドに対する意欲は依然として強く、大手コンサルティングファームPwCは、米国のESGファンドへの投資総額は2026年までに2倍以上の10.5兆ドルになると予測している。 個人投資家が分散型ポートフォリオの一部として適切なESGファンドを見つけられるよう、米経済誌の ...
化学物質管理の新たなグローバル・フレームワーク策定
ドイツ西部のボンにおいて9月末に開催された第5回国際化学物質管理会議にて、化学物質に関するグローバル・フレームワーク(Global Framework on Chemicals)への世界的な合意が形成された。同枠組みは化学物質と廃棄物の健全な管理を改善することを目的とした28の目標に基づいており、国際連合環境計画(UNEP)*1は、このグローバル・フレームワークに歓迎の姿勢を見せ、すべての人々にビジョンの達成のための努力を呼びかけている。日本政府が新たな枠組みにおけるアジア・太平洋地域の地域フォーカルポイ ...
IEAネットゼロ・ロードマップ:再エネが地球温暖化の救世主に?
国際エネルギー機関(IEA)は9月26日、「ネットゼロ・ロードマップ」(*1)を発表した。このレポートは、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えるために、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にするための今後の道筋を示すものである。本レポートは、2021年に発表されたものの改訂版で、コロナ禍後の景気回復や、一部の再生可能エネルギー技術の驚異的な成長など、過去2年間のエネルギー情勢の大きな変化を盛り込んでいる。*2 本レポートによると、再生可能エネルギーの急成長が、世界の ...