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2030年、新車販売の44%がEV?BNEFレポート予測

運輸・自動車部門は大きな変革期を迎えている。乗用車から商用車、バス、二輪車、三輪車に至るまで、ほぼすべての分野で電化が急速に広がっている。

ブルームバーグNEFによる電気自動車 (EV) アウトルック(The Electric Vehicle Outlook:EVOレポート)は、電化、シェアード・モビリティ、自動操縦などが今後数十年の自動車、石油、電力、インフラ、電池材料市場、さらにはCO2排出量にどのような影響を与えるかを考察する長期的な年次刊行物である。*1 BloombergNEF、EVO Report 2023

本記事では、世界各地の専門家チームによって、分析された本レポートを解説していく。

主な数値
2022年の世界のEV新車(乗用車)販売台数 1,050万台
2022年の世界のEV(乗用車)普及台数 2,658万台
2040年の世界のEV新車(乗用車)販売割合 75%
2040年の世界のEV(乗用車)普及台数 7億3,000万台
今日から2050年までの充電インフラ市場機会の規模 1.9兆ドル (272兆円)
道路輸送の石油需要のピーク 2027年
道路輸送排出量のピーク 2029年
ネット・ゼロ・シナリオにおける2022年から2050年にかけての年間リチウム需要のスケールアップ 22倍
(出典:Electric Vehicle Outlook 2023)

ゼロ・エミッションのための技術革新

バッテリーによる電気自動車への完全移行は、道路分野を完全に脱炭素化するために最もコスト効率が高く、商業的にも利用可能なルートである。 燃料電池車(FCV)は、電化が困難な長距離トラック輸送の用途では需要があるが、乗用車市場ではもはや役割を果たさない。

過去10年間でバッテリー価格が劇的に下落したため、技術革新が電気自動車への移行の中核をなしている。電池価格は2022年に初めて上昇したが、この分野の技術革新は減速しておらず、固体電池、次世代正極・負極化学、ナトリウムイオン技術などの分野の進歩は、今後数年ですべて商業化できるレベルに到達する。

しかし、技術革新だけでは、今世紀半ばまでに道路交通セクターをネット・ゼロ・エミッションの軌道に乗せるには十分ではない。自動車市場をゼロ・エミッションに向かわせ、燃費を改善し、電力システムを電気自動車に対応させ、自動車依存度を全体的に減らす上で、重要な役割を担うのは政策立案者である。道路から温室効果ガスの排出をなくすには、自動車メーカー、バッテリーメーカー、充電会社、送電網運営会社、消費者など、すべての人々の協力が必要である。

新たなビジネスチャンス

すべての車種におけるEVの累積販売額は、2030年までに8.8兆ドル(約1250兆円)、2050年までに57兆ドル(約8100兆円)に達する見込みである。ネット・ゼロ・シナリオでは、2050年までに88兆ドル(約1京2500兆円)以上に跳ね上がる可能性がある。バッテリーや電気自動車は、産業政策に関する新たな議論の中心的な舞台となっており、世界各国が新たな投資を誘致し、高価値製造のクラスターを構築しようと競い合っている。一方、規制当局や送電網運営者は、EVが電力系統に利益をもたらすような方法を模索している。変化のベクトルは電動化だけではない。シェアード・モビリティ、車両コネクティビティ、そして最終的には自動運転車も、世界中の自動車・貨物市場を再構築することになる。また都市化が進むことによる自動車の混雑や都市の大気環境も考慮する必要がある。

レポートの特記事項

本EVOレポートは、ブルームバーグNEFの世界各地のセクター別・地域別の専門家チームを活用し、今後30年間で道路交通がどのように進化しうるかについて予想したものである。世界中の乗用車、商用バン・トラック、二輪車、三輪車、バスにおけるEVの導入に関する分析や、ハイブリッド、天然ガス、燃料電池を含むその他のエネルギーにも注目し、これらすべてが電力市場や石油市場、バッテリー材料、充電インフラ、CO2排出量に与える影響について考察している。

EV販売の実績

政策支援、バッテリー技術の向上、充電インフラの整備、自動車メーカーの魅力的な新モデルなどが相まって、EV販売が急増している。また、電動化は道路交通の新たな分野にも広がりつつあり、今後の大きな変化の舞台となっている。足元では、2022年の世界の新車販売のEVシェアはトラックやバンの3%、乗用車の14%、バスの38%、二輪・三輪車の49%を占めている。

(出典:Electric Vehicle Outlook 2023)

乗用車EV販売台数の急上昇

世界のEV市場は依然として中国が独占しているが、その他の地域でも販売台数は急速に伸びている。EVの販売台数は今後数年間で急増し続け、2022年の1,050万台から2026年には2,700万台近くまで増加すると予想されている。世界の新車乗用車販売に占めるEVの割合は、2022年の14%から2026年には30%に急増する。

一部の市場でのシェアはもっと高く、

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