ロイター通信が金融データ・プロバイダーのリフィニティブ(Refinitiv)と共同で立ち上げたシグナル・クライメート・アナリティクス(Signal Climate Analytics)社は、この10年間で自動車産業はどのように変化したのか、なぜその変化が重要なのか、そして自動車メーカーは脱炭素化という課題に対応するために再び製品を変化させる準備ができているのかを検証した。
世界のCO2排出量の約5分の1を占める運輸部門の中核的存在である自動車産業は、これまで以上に、気候変動に対処するために必要なクリーンエネルギーへの移行の一翼を担う必要がある。温室効果ガス排出量実質ゼロ、カーボンニュートラルな社会を実現するには、世界中の自動車メーカーが販売する車両の走行距離1kmあたりのCO2排出量(gCO2/km)を大幅に削減する必要がある。2020年代は自動車産業にとって変革の10年とならなければならない。
シグナル・クライメート・アナリティクスの調査リストに掲載されたCO2排出量上位 27社の自動車メーカーのうち、気温上昇を2℃以下に抑えるための十分なコミットメントを行っているのは、10社のみだった。日本勢はトップ10に含まれていない。パリ協定の2℃目標と自動車の排出量の整合性を測定し、各社の販売車両が2℃の世界に適合した方法で脱炭素化しているかどうかを評価した結果、トップ10に選ばれたのは以下の10社だった。Tesla、BYD、BAIC Geely、VW、GAC、 Daimler 、Hyundai、Renault、 Peugeot。
日産(11位)、マツダ(12位)、トヨタ(14位)、ホンダ(16位)はそれぞれ中間の評価にとどまった。
スズキ、三菱、スバル、いすゞを含むそのほかの11社は、科学的根拠に基づく目標を設定している企業もあったが、主な排出源である製品使用やサプライチェーンからの排出について、今後9年間の行動目標を設定していないことで低く評価された。
「サステイナブル・バリュー・レシオ(sVR)」に注目
また、同報告書は新しい指標である「サステイナブル・バリュー・レシオ(sVR)」への移行の機会とリスクの現在および予測の比率を測定するものを算出し - ゼロカーボン社会への移行に伴うリスクと機会に対応するため、自動車メーカーがどのようなポジションにあるのかを図った。
sVR分析を用いて、4つのタイプの企業を特定した。1)サステイナブル・バリュー・リーダー」、2)「コンテンダー」、3)「ディフェンダー」、4)「ラガード」だ。これらのカテゴリーは過去の総株主利益率に連動していて、「リーダー」は平均12.7%で同業他社を上回り、次いで「コンテンダー&ディフェンダー」が4.5%、最後に「ラガード」が0.3%となっている。
リーダーグループは、Disruptor(破壊者)と既存企業の両方を含み、変革に取り組んでおり、強力なリスク軽減策と強いアップサイドフォーカスを共有している。コンテンダーは、移行計画を立てているが、リーダーのような全面的な戦略はなく、ディフェンダーは計画を策定しているが、多くの場合、積極性に欠け、埋めるべきギャップが大きい。ラガードは、どのように移行するかを明確にしておらず、対策が必要な大きなリスクを抱えているという。
4つのグループに入った企業の内訳は、以下の通りだ。
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