脱炭素投資のトレンドとは?①
先日、菅首相は所信表明演説で2050年までに国として温暖化ガス排出量実質ゼロを目指すことを発表した。日本企業はビジネスモデルの転換を強いられることになるだろう。環境問題の解決を成長戦略として位置づける菅総理は「脱炭素を企業の新たな投資先にしたい」と自民党税制調査会長に協力を求めたことも報じられている。 しかし、脱炭素社会を実現するのは簡単なことではない。はじめに、国の年間温暖化ガス排出量の8割以上を占めるエネルギー消費に関与する産業部門別で確かめる。環境省が公開している2018年度のエネルギー転換部門の ...
バイデン陣営:気候変動政策実施に懸念
大統領選挙当選確実となったバイデン氏は「コロナ対策」「経済再生」「人種平等」「気候変動」の4つを政策の最重要課題とすることを明らかにした。その中でも気候変動への対応に注目が集まっている。 大統領に就任した暁には、地球温暖化対策に特化した部署をホワイトハウスに設立することを検討しているという。 担当候補者として、パリ協定を仲介したケリー元国務長官、気候変動問題で民主党候補として立候補したインスリーワシントン州知事、ビル・クリントン大統領のホワイトハウス参謀長だったポデスタ氏が挙げられている。この部署は、大気 ...
電子機器世界大手鴻海精密工業(ホンハイ):CO2ネットゼロ目標へ
台湾の電子部品メーカーの世界大手、鴻海科技集団(ホンハイ)は、企業に気候変動対策を求める投資家グループ「クライメート・アクション100+」の働きかを受け、2050年までにCO2排出実質ゼロ達成に向けてビジネスモデルを変革すると宣言した。 ホンハイは以下の取り組みを実施すると公開。 鴻海科技グループの工場が所在する地方自治体のCO2排出削減対策の遵守 2050年までにバリューチェーンにおける温室効果ガス排出量ゼロ目標達成 クライメートアクション100+運営委員会が提案した以下の目標達成 気候変動ガバナン ...
Hirschel and Kramer: ヨーロッパトップ10の ESG資産運用会社を発表
スイスの調査会社 Hirschel and Kramer (H&K)は、Responsible Investment Brand Index™ 2020(以下RIBI)を発表した。 RIBIは、欧州の資産運用会社284社を対象に、各資産運用会社の責任投資やサステナビリティへのコミットメントを分析した調査結果だ。これは、資産運用会社が、投資先企業に対するエンゲージメントの強度や運用会社のパーパス/企業理念にESG要素を取り入れているかなどを評価基準としている。 2020年RIBI™の総合成績ベスト ...
10月末投信流入額ランキング:ESGファンドがトップ3を獲得
国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、及びETF除く)を対象として、モーニングスター推計値に基づいた20年10月26-30日の純資金流出入額を確認したところ、トップ3がESGファンドであった。 (出典:Morningstar) 首位は、2週ぶりのトップとなった「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」(愛称:未来の世界(ESG))で、218億円の純資金流入となった。このファンドについては以前のブログで解説した。 次いで、「野村 環境リーダーズ戦略ファンド ...
フィリピン:石炭火力発電所の新規建設を停止に
石炭火力発電を主力電源としてきたフィリピン政府は、新規の石炭火力発電所プロジェクトの承認に関するモラトリアムを宣言した。その代替として、再生可能エネルギーの導入を後押しする見込みだ。 建設計画中にある許容量12GWの新規石炭発電所のパイプラインは、完成すればフィリピンの石炭容量を2倍以上に増やすことになる。シンクタンクE3Gが分析したGlobal Energy Monitorのデータによると、モラトリアムはその12GWのうち8GWの建設計画を廃棄する可能性が高い。政府は、具体的なモラトリアムの対象条件をま ...
米大統領選挙直前!トランプvsバイデン環境政策の徹底比較
11月3日(火)に迫った米大統領選挙はますます盛り上がりを見せている。今回のブログでは、トランプ、バイデン両候補の環境政策を比較する。 気候変動・パリ協定 トランプ氏は環境問題よりも自身の生活を案じるウェストバージニア、オハイオ、ペンシルベニア各州の石炭生産地の人々を支持基盤としている。彼らの雇用や経済を保証するために、地球温暖化防止のための国際的な枠組みであるパリ協定からの離脱を決めた。 バイデン氏は即座に復帰すると主張。夏に前代未聞な気温を記録したことや、カリフォルニア州で猛威を奮った山火事を懸念して ...
Guest Blog: 畜産業の改善を求める投資家と日本企業
家畜の福祉は、公衆衛生とビジネスリスクの観点から、投資家の関心事となってきている。本稿ではアメリカに本部をもつ家畜福祉団体の日本支部「ザ・ヒューメイン・リーグ・ジャパン」の専門家をゲストライターとして招きし、世界的な家畜福祉(ファームアニマルウェルフェア又はFAW)の動向として、最近の「家畜投資リスクとリターン」に焦点を当てるFAIRRイニシアチブの取り組みや食品部門を中心とする大手グローバル企業の政策を評価するビジネスベンチマークを調べ、国際的な競合と比較した日本の主要企業の取り組みをレビューする。 W ...
Withコロナ:個人投資家の投資行動をどう変えたのか?
今年、新型コロナウイルスの流行は「コロナ・ショック」と呼ばれ、生活様式を大きく変えました。今回のブログでは、個人投資家の投資行動にどのような変化をもたらしたのか、ESG投資への流入で個人投資家はどれほど参入したのかを解説していきます。 ESG投資規模の変化 個人投資家によるESG投資額は劇的に増えています。日興リサーチセンターによると、1~9月に関連する投資信託に前年同期の13倍となる7200億円が純流入し、過去最高となりました。ESGへの投資はこれまで機関投資家が中心でしたが、新型コロナウイルスを受けて ...
Know The Chain: 強制労働リスクに取り組む企業評価
サプライチェーンにおける強制労働リスクに取り組む企業を評価する投資家向けの指標であるKnowTheChainは、180社を対象に業種別ベンチマークを段階的に発表している。対象となっている食品・飲料メーカー、ICTとアパレル&フットウェアの中、食品・飲料とICTのベンチマークが先に発表された。日本企業13社も対象となり、平均評価スコア(17/100)は残念ながら非常に低い。業種別にランキングを解説したい。 食品・飲料メーカー コロナウイルスは、食品サプライチェーンの重要性を浮き彫りにした。ナイジェリアの精米 ...