元米国副大統領のアル・ゴア氏が創設者の一人である投資ファンド、Generation Investmentは投資家向けのガイドラインを公開した。当ファンドは持続可能な社会の実現によって成長すると想定される「システム・ポジティブ」な企業に投資している。
このガイドラインでは、現在公開されているESGデータには限界があると言及。データは多くの場合未来ではなく過去の実績に基づき、商品やサービスの本質的サステナビリテイよりも、どのように長期的で責任のある事業を展開するかという「方法」に焦点を当てているためである。
高いリサイクル率を達成した廃棄物管理会社があると仮定する。表向きにはESGに貢献し、高い評価を受けているかもしれないが、廃棄物ゼロの循環型経済が達成された暁には業績は落ち込むだろう。
投資家は今後の長期的な企業戦略を注視する必要がある。企業によってはシステム・ポジティブであると容易に判断できるかもしれない。例えば、電気自動車の供給者は再生可能エネルギーへのシフトによって恩恵を受けるはずだ。しかし、今年のコロナショックが好例だが、全体に潜むリスクを無視すると問題の本質を見失うことになる。高機能の燃料エンジンを製造している企業は短期的に利益を得る可能性があるが、脱炭素化が加速するにつれて損失を被ると予測できる。
Generation Investmentは「システムポジティブ」の企業を見極めるための5つの質問を提示している。
- セクターを真の持続可能な組織にするためには、どのようなシステムの改善が必要か
- 持続可能な社会が実現することによって企業は利益を得るか
- 事業や経営陣は長期的志向を持っているか
- 企業にシステムレベルの改革をもたらす手段があるか
- 会社は組織を改革するための効果的な連携が取れているか
一見ESGにコミットしているようであっても、その真意はその場凌ぎの環境的・社会的リスクへの対処にすぎないかもしれない。企業の長期的なビジネス戦略の本質を見極めることは投資家にとって重要だろう。
参考記事
Generation Investment:Insights | System Positive | Generation Investment Management LLP