大手35社の機関投資家は、新しいネットゼロ投資フレームワークをポートフォリオに含まれる8兆ドル相当の資産を対象に適用した。
2020年後半、欧州を中心とする気候変動に関する機関投資家グループ(Institutional Investors Group on Climate Change: IIGCC)が作り上げたこのフレームワークは総額1.3兆ドルのポートフォリオの実際のシナリオで初めて試行された。信憑性のある脱炭素計画を持たない高排出企業の株式の売却時期・方法や、ネットゼロに向けた脱炭素計画を準備する投資先とのエンゲージメント、排出ゼロのソリューションを提供するプロジェクトや企業への投資を助けている。さらに、投資家自らの政策提言活動がパリ協定の目的と整合性あることを確認、またポートフォリオ内企業のロビー活動の実態調査に役立つ。同フレームワークの活用を通じて、ポートフォリオ全体の脱炭素化を図る中間目標の設定方法を資産クラス別で細かく主導する。
このフレームワークを最初に適用したのは以下の35社だ。参加する機関投資家の中英国の年金基金が最も多く、その次にデンマークと米国のアセットオーナーも目立つ。
AP2(スウェーデン)、Avon Pension Fund(英国)、Brunel Pension Partnership(英国)、Bundespensionskasse AG(独)、Church of England Pensions Board(英国)、Cornwall Pension Fund(英国)、Devon County Council(英国)、Environment Agency Pension Fund(英国)、Lloyds Banking Group Pensions Trustee Limited(英国), National Grid UK Pension Scheme(英国), Nest(英国), New York State Common Retirement Fund(米国), NN Group(オランダ), Northern LGPS(英国), Oxfordshire County Council Pension Fund(英国), Pædagogernes Pension(デンマーク), PensionDanmark(デンマーク), PKA(デンマーク), Royal London(英国), Scottish Widows(英国), Sierra Club Foundation(米国).
フレームワークの適用により、ESG投資で先行する欧米の機関投資家の環境に配慮した投資判断が更に前進する見込みだ。日本を含むアジアの機関投資家も負けず、早めにこのようなフレームワークを試し投資判断の参考に活用するのが望ましい。
参考リンク:edie: Major investors apply net-zero alignment framework to $8trn of assets