米国現地時間11月5日にアメリカ大統領選が終了し、共和党のドナルド・トランプ候補が民主党のカマラ・ハリス候補に勝利した。
有権者はトランプ氏の経済政策のを支持し、彼を選んだ。トランプ氏とそのアドバイザーらは、重要な環境規制を弱め、化石燃料の開発を後押しすることを選挙公約に掲げていた。その中には、排出量削減政策に関する最大の権限を持つ連邦機関である環境保護庁(EPA)を組織的に解体することや、トランプ氏が以前「史上最大の増税」と呼んでいたインフレ抑制法(IRA法)を含むバイデン政権の気候変動政策を撤回することなどが就任後に実施されるかが注目されている。*1
バイデン政権は、米国が気候変動対策のリーダーシップを取り戻すことを目指していたが、今後トランプ政権のもとでどのような変化が予想されるだろうか。
目標は化石燃料の生産を促進すること
6日の早朝に行われた勝利宣言の演説で、ドナルド・トランプ氏は、米国には膨大な石油と天然ガスの埋蔵量があると豪語した。トランプ氏は、「我々は世界中のどの国よりも多くの液体の黄金を持っている。サウジアラビアよりも多く、ロシアよりも多く持っている」と、元環境弁護士で次期トランプ政権の保健政策の形成に影響力を持つ可能性のあるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏に語った。*2
バイデン政権は気候変動の抑制に重点を置いていたにもかかわらず、記録的な量の石油生産を看過してきた。米国の石油および天然ガスの生産量は世界価格の影響を受ける。価格が高ければ企業はより多く掘削し、低ければ掘削を減らす。米国大統領は、これらの企業の決定や最終的には燃料価格にほとんど影響力を持っていない。
トランプ氏の選挙キャンペーンによると、同氏の2期目の目標は化石燃料の生産を促進することである。記録上最も暑い年になる可能性が極めて高い2024年、彼はホワイトハウス入りすることになる。トランプ氏はかねてより、地球温暖化の主な原因は人間による排出であるという科学的コンセンサスに疑いを投げかけており、ここ数か月間は風力発電や電気自動車を非難してきた。また、同氏は、使われなかった気候変動対策の資金を回収すると声をあげている。
それでも米国はよりクリーンなエネルギー源へと移行する
熱を閉じ込める温室効果ガスは主に化石燃料の燃焼により排出されるが、その排出量は昨年、過去最高を記録した。そして、世界の気温は、科学者たちが「より破壊的な嵐や熱波、沿岸都市を水没させる海面上昇など、より危険な気候変動の影響のリスクを高める」と警告するレベルまで上昇する見通しである。
クリーンエネルギーを提唱する非営利団体セレスの最高経営責任者(CEO)であるミンディ・ルーバー氏は、
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