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気候変動対策とエネルギー安全保障が同時に問われる中、世界のエネルギートランジション投資は着実に拡大している。BloombergNEF(BNEF)が公表した「Energy Transition Investment Trends 2026」によれば、2025年の世界のエネルギートランジション投資額は2兆3,000億ドル(約355兆円)に達し、過去最高を更新した。地政学的緊張や貿易摩擦が続く状況下でも、エネルギーの脱炭素化は一時的な潮流ではなく、構造的な投資テーマとして定着しつつあることが示されている。*1

注目すべきポイント

  • 2025年の世界のエネルギートランジション投資は2兆3,000億ドル(約355兆円)に達し、前年比8%増と過去最高を更新した。
  • 電動化輸送が8,930億ドルで最大の投資分野となり、再生可能エネルギー、送電網投資がこれに続いた。
  • クリーンエネルギー供給への投資は2年連続で化石燃料供給投資を上回り、その差は1,020億ドルに拡大した。
  • 中国は最大市場である一方、再生可能エネルギー投資は2013年以来初めて減少した。
  • EUとインドは二桁成長を記録し、エネルギートランジション投資の地域分散が進んでいる。
  • 気候テック企業への株式投資は3年ぶりに増加へ転じたが、スタートアップ向け投資は依然として低調である。
  • 投資額は拡大しているものの、成長率は鈍化しており、今後は投資額よりも投資先事業のネットゼロとの整合性が問われる段階に入っている。
「エネルギートランジション」とはエネルギートランジションとは、化石燃料を中心とした従来のエネルギー供給構造から、再生可能エネルギーや低炭素技術を軸とするエネルギーシステムへと移行していく過程を指す。BloombergNEFでは、クリーン技術の導入、クリーンエネルギー・サプライチェーンへの投資、気候テック企業への資本投入、エネルギー移行を目的とした債券発行を含めて、この移行を捉えている。単なる発電手段の転換にとどまらず、輸送、産業、金融を含む経済全体の構造変化として進行している点が特徴である。2025年は、貿易摩擦や地政学的緊張の中でも投資が拡大し、エネルギートランジションが高いレジリエンスを持つことが示された。

分野別・地域別に見る2025年の全体像

2025年の世界のエネルギートランジション投資額は、前年比8%増と過去最高を更新した。本レポートは、クリーン技術の導入、クリーンエネルギー・サプライチェーンへの投資、気候テック企業への株式投資、エネルギートランジションを目的とした債券発行という4つの投資指標を包括的に分析している。

2025年は、貿易の混乱や地政学的緊張が続いた年であったが、これらすべての指標が前年を上回り、エネルギートランジションが高いレジリエンスを有していることが示された。

分野別では、電動化輸送が8,930億ドル(約138兆円)と最大の投資先となり、電気自動車および充電インフラへの投資が前年比21%増加した。再生可能エネルギーへの投資は6,900億ドル(約107兆円)、送電網投資は4,830億ドル(約75兆円)であったが、再生可能エネルギーについては、中国における電力市場規制の変更による不確実性を背景に、前年比9.5%の減少を記録した。BNEFが追跡する分野のうち、水素73億ドル(約1兆円)と原子力360億ドル(約5兆円)を除くすべての分野で投資は増加している。

また、2025年はクリーンエネルギー供給への投資が2年連続で化石燃料供給投資を上回り、その差は1,020億ドル(約16兆円)に拡大した。クリーンエネルギー投資は、再生可能エネルギー、原子力、炭素回収、水素、エネルギー貯蔵、送電網を含み、引き続き成長を維持した。一方、化石燃料供給への投資は2020年以来初めて減少し、前年比で90億ドル(約1.4兆円)減少した。この減少は、主に上流の石油・ガス投資の縮小(90億ドル、約1.4兆円減)と化石燃料発電投資の減少(140億ドル、約2兆円減)によるものであり、ガスおよび石炭への投資増加が一部を相殺した。なお、エネルギートランジション投資の成長率は、2021年の27%から2025年には8%へと鈍化している。

地域別では、

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