2025年のESG展望~サステナビリティの重要な年に向けて~
気候変動の影響が顕著化する中、年々異常気象や自然災害が増加しており、環境への取り組みが各国で優先事項となってきている。 一方で、近年、各国の金融センターでは、サステナブル・ファイナンスの方針が見直されている。石油・ガス価格の高騰やエネルギー安全保障の優先が影響し、特に米国ではサステナブル・ファイナンスが困難に直面している。 金融セクターは、将来のエネルギー転換を支える道を選ぶのか、それとも現在のエネルギー需要に押し流されるのか?本記事では、2025年におけるサステナブル・ファイナンスに関する7つの予測(* ...
JPモルガンがネット・ゼロ銀行連合から脱退、米大手銀行の脱退が完了
米国最大の銀行であるJPモルガン・チェースが1月7日、ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)から離脱することを発表した。これは、国連が支援する、投融資活動を通じて世界のネット・ゼロ目標を推進する銀行連合からの相次ぐ離脱となる。邦銀5行は引き続き同イニシアティブにコミットしているが、米銀の離脱が他の加盟行に与える影響は不透明だ。*1 JPモルガンは、ここ数週間の間にシティバンク、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴが離脱したのに続き、NZBAか ...
COP29合意:先進国は年間3,000億ドルの気候変動資金拠出へ
アゼルバイジャンのバクーで開催されていた国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)は11月24日(日)、過去2週間にわたって開催されてきた交渉の最終日を2日後に控え、気候変動に脆弱な国々を支援し、世界的な再生可能エネルギーへの転換を加速させるため、先進国が年間3000億ドル(約46兆円)を拠出することを求める気候変動資金に関する最終合意で閉幕した。*1 COP29は「気候資金COP」と呼ばれ、締約国は新たな世界的な気候資金目標を設定することが期待されていた。気候変動資金に関する既存の目標は、先進 ...
AIの電力消費、ビッグテックは原子力で賄う
グーグルは10月15日、小型原子炉を開発する米新興企業カイロス・パワーから、最大500MWのカーボンフリー・エネルギーを購入する計画を発表した。 今回の契約は、グーグルや同業他社が、急速に拡大するデータセンターの消費電力量がもたらす温室効果ガス排出量の増大に対処するため、ゼロ・エミッション電源の確保に急いでいることを示す。グーグルの発表は、マイクロソフトが9月にコンステレーション・エナジー社*2と締結した、ペンシルベニア州のスリーマイル島原発1号機の再稼働を可能にする電力購入契約に続き、大手テック企業が締 ...
惑星の健康診断、世界は 「危険な新時代 」に突入
地球が人類にとって安全な活動領域をはるかに超えていることが、地球の健康状態をチェックする史上初のプラネタリーヘルスチェックによって明らかになった。 9つのプラネタリーバウンダリー(※人間が地球上で持続的に生存していくためには、越えてはならない地球環境の境界)のうち6つがすでに侵されており、地球の居住性を脅かす危険地帯へとさらに深刻化し続けている。 ※プラネタリーバウンダリーについては、過去の記事を参照ください。 (出典: Planetary Health Check 2024) 本記事は、地球システム科学 ...
石油大手トタル、森林事業への投資拡大
仏石油メジャーのトタルエナジーズ社は、北米の自然を基盤とした解決策を專門とするアニュー・クライメイト社及び米国の大規模森林所有者でもあるオーロラ・サステイナブル・ランドと 1 億ドル(約145億円)の契約を締結し、改良型森林管理によって森林による二酸化炭素の吸収・貯蔵量の増加を目的としたカーボンプロジェクトを展開していく。 トタルの森林投資事業 フランスに本社を置く多国籍企業で、日本ではエンジンオイルのメーカーとして有名なトタルの投資事業は、生産性の高い森林を過剰な木材伐採から保護し、持続可能な管理方法へ ...
ビッグテック企業による炭素会計ルール書き換えの試み
アマゾン、メタ、グーグルなどのビッグテック企業は、クラウドコンピューティングの最前線に立ち、世界中の企業や政府にスケーラブルで信頼性の高いサービスを提供している。しかし、これらの企業はスコープ3温室効果ガス(GHG)排出量データの提供が遅れていることで批判を受けており、そのデータの計算方法、特に排出量オフセット制度について物議が醸されている。 電力を大量に消費するビッグテック、排出量開示に隔たり? 世界で最も利用者の多いオンライン・マーケットプレイスであり、クラウド・サービスの大手プロバイダーであるアマゾ ...
豪州、気候関連財務情報開示の義務化法を採択
8月22日、大中規模企業に対する気候変動関連財務情報開示の義務化法案がオーストラリア上院を通過し、同国における新たな気候変動リスク情報開示の枠組み確立に向けた大きな一歩を踏み出した*1。 上院での採決を受け、オーストラリアのジム・チャルマーズ財務相は次のように述べた: 「これらの重要な改革は、投資家や企業がネット・ゼロへの転換を支援するために必要な明確性と確実性を提供し、国際資本にとって魅力的な目的地としてのオーストラリアの評判をさらに強化するものである」 ジム・チャルマーズ財務相 今年初めに発表された新 ...
気候変動リスク評価が企業経営に欠かせない理由
気候変動のリスクを適切に評価することは、企業にとって予期せぬ損失を防ぎ、運営コストを削減し、ブランド価値を向上させるだけでなく、新たなビジネスチャンスを見つけるための鍵となる。投資家や消費者の意識が高まる中、持続可能性を重視する企業が増えており、これらの企業は長期的な成長が期待されるため、競争優位性を高めることができる。 本記事では、地球沸騰化(*1)に伴う異常気象の加速やそれによって企業がどのような影響を受けるリスクがあるのか、そしてその気候変動リスクの評価が企業成長にどのように寄与するのか、について詳 ...
大手ファッションブランドの4分の1が脱炭素化について何も公表していない
リーボック、トム・フォード、DKNYなど、世界最大のファッションブランドのほぼ4分の1が、脱炭素化に関する公的な計画を持っていないことが、最新の報告書で明らかになった。場合によっては、工場近くの水域から化学物質が検出されることもある。*1 2024年8月1日に発表された世界最大のファッション・アクティビズム運動であるファッション・レボリューションの最新報告書「What Fuels Fashion?(何がファッションを動かすのか?)」は、世界最大のファッションブランドと小売業者250社(売上高4億ドル以上) ...