ESGニュース

地球上の新車市場はアメリカとドイツと日本だけではない。 シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシアといった東南アジア諸国では、毎年大量の新車が販売されている。 これらの市場は伝統的にドイツやアメリカの自動車メーカーには無視されてきたが、トヨタ、ホンダ、日産、三菱などの日本ブランドは何十年もの間、これらの国々での販売でごちそうになってきた。 しかし最近になって、中国ブランドが日本ブランドの進撃を奪っている。 今年7月にインドネシアで自動車販売を開始したばかりのBYDは、約40,000ドルから購入できるバッテリー電気ハッチバック「Seal」の人気のおかげで、すでに同国で6番目に売れている自動車会社だ。

日本車の新車販売台数がアジア各国で減少

ブルームバーグによると、2019年以降、日本車の販売台数はマレーシアで5%減、インドネシアで6%減、タイで12%減、シンガポールでなんと18%減と、トヨタ、日産、三菱など複数の日本企業が東南アジアに工場を持っているにもかかわらず、大きく落ち込んでいる。*2 電気自動車や航続距離の長いEVの販売が好調な中国では、日本企業には同様のモデルがないため、日本ブランドの販売台数は9%減少した。

ブルームバーグが調査した日本の自動車メーカー6社すべてが中国での販売台数を減らしており、かつては中国の新車市場で圧倒的な強さを誇っていたトヨタも同様だ。しかしトヨタは、中国のトレンドが分子ではなく電子を動力源とする自動車に強く傾きつつある今、頑なにガソリン車の販売にしがみついている。

日本車への忠誠心が非常に強い東南アジアでは、2019年現在、インドネシアではほとんどすべての車が日本の自動車メーカーによって製造されているが、中国ブランドの人気は高まっている。 特にタイとシンガポールではその傾向が顕著で、2019年には50%を大きく超えていた日本車のシェアは現在35%程度にとどまっている。かつては効率性と信頼性のパイオニアとみなされていた企業にとって、全体像は憂慮すべきものだとブルームバーグは言う。

アジアでの市場シェア低下は、ヨーロッパやアメリカでの市場シェア低下にもつながる可能性がある。 とはいえ、中国の自動車メーカーは懲罰的関税のため、米国ではほとんど乗用車を販売していない。 グループとして、日本の自動車メーカーは完全な電気自動車へのシフトが遅れている。この戦略は、勝者が最先端のバッテリー技術と高度なソフトウェアに基づく新モデルを市場に投入している業界において、さらに遅れをとり、大きな犠牲を払っている。

タイから日本企業を追い出す中国

ニューヨーク・タイムズ紙によると、

ここから先は「ThinkESG プレミアム」会員限定の
コンテンツです。

4つの特典が受けられる「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」の詳細についてはこちらをご覧ください

「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」へはこちらからお申し込みいただけます

「ThinkESG プレミアム」会員の方はログインしてください。

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/12/9

東南アジアで日本車販売が激減,中国車がシェアを拡大

地球上の新車市場はアメリカとドイツと日本だけではない。 シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシアといった東南アジア諸国では、毎年大量の新車が販売されている。 これらの市場は伝統的にドイツやアメリカの自動車メーカーには無視されてきたが、トヨタ、ホンダ、日産、三菱などの日本ブランドは何十年もの間、これらの国々での販売でごちそうになってきた。 しかし最近になって、中国ブランドが日本ブランドの進撃を奪っている。 今年7月にインドネシアで自動車販売を開始したばかりのBYDは、約40,000ドルから購入できるバッ ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/12/2

インドネシア: 2040年までに石炭を廃止、再生可能エネルギーを大幅に拡大

11月18日から19日にかけてブラジルで開催されたG20サミットでは、「持続可能な開発とエネルギー転換」をテーマに、インドネシアのプラボウォ大統領は、2040年までに石炭火力発電所を廃止し、太陽光、地熱、バイオエネルギーなどの再生可能エネルギーを大幅に拡大することで、2050年までに従来の約束より10年早い段階で温室効果ガス排出量ネットゼロを達成するというインドネシアの野心的なビジョンを改めて表明した。*1 75GWの再生可能エネルギーを新設 インドネシアは地熱資源に恵まれており、今後15年以内に石炭火力 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/11/24

COP29合意:先進国は年間3,000億ドルの気候変動資金拠出へ

アゼルバイジャンのバクーで開催されていた国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)は11月24日(日)、過去2週間にわたって開催されてきた交渉の最終日を2日後に控え、気候変動に脆弱な国々を支援し、世界的な再生可能エネルギーへの転換を加速させるため、先進国が年間3000億ドル(約46兆円)を拠出することを求める気候変動資金に関する最終合意で閉幕した。*1 COP29は「気候資金COP」と呼ばれ、締約国は新たな世界的な気候資金目標を設定することが期待されていた。気候変動資金に関する既存の目標は、先進 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/11/19

トランプ氏圧勝で、今後の気候変動政策はどうなる?

米国現地時間11月5日にアメリカ大統領選が終了し、共和党のドナルド・トランプ候補が民主党のカマラ・ハリス候補に勝利した。 有権者はトランプ氏の経済政策のを支持し、彼を選んだ。トランプ氏とそのアドバイザーらは、重要な環境規制を弱め、化石燃料の開発を後押しすることを選挙公約に掲げていた。その中には、排出量削減政策に関する最大の権限を持つ連邦機関である環境保護庁(EPA)を組織的に解体することや、トランプ氏が以前「史上最大の増税」と呼んでいたインフレ抑制法(IRA法)を含むバイデン政権の気候変動政策を撤回するこ ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/11/19

新興国の再エネ導入は先進国より急速に拡大

独立系シンクタンクRMI(※1)の新たな報告書によると、発展途上国や新興国における再生可能エネルギーの導入は先進国よりも急速に拡大しており、一部の発展途上国は欧米諸国を追い抜いている。*1 報告書(「Powering Up the Global South」)では、グローバル・サウスが北半球よりも早くクリーンテックを導入していることを示す新たな分析を示しており、今後も成長への道筋として導入し続けるであろうことを示している。*2 (※1) RMIは、世界の気温上昇を1.5°C未満に抑制する未来に向けた市場主 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/11/9

液化天然ガスのカーボンフットプリントは石炭より悪い

コーネル大学の新しい研究によると、液化天然ガスは、生産、処理と輸送を考慮すると、石炭よりも33% 多くの温室効果ガスを排出する。 *1 これは、10月3日発行の「エネルギーサイエンスとエンジニアリング」に掲載された「米国から輸出される液化天然ガスの温室効果ガスフットプリント」という研究から判明した。*2 米国は世界最大の輸出国 2016年に液化天然ガスの輸出が解禁されて以来、米国からの輸出は劇的に増加し、今や米国は世界最大の輸出国となっている。  この液化天然ガスは主にシェールガスから生産される ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/10/25

AIの電力消費、ビッグテックは原子力で賄う

グーグルは10月15日、小型原子炉を開発する米新興企業カイロス・パワーから、最大500MWのカーボンフリー・エネルギーを購入する計画を発表した。 今回の契約は、グーグルや同業他社が、急速に拡大するデータセンターの消費電力量がもたらす温室効果ガス排出量の増大に対処するため、ゼロ・エミッション電源の確保に急いでいることを示す。グーグルの発表は、マイクロソフトが9月にコンステレーション・エナジー社*2と締結した、ペンシルベニア州のスリーマイル島原発1号機の再稼働を可能にする電力購入契約に続き、大手テック企業が締 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/10/11

惑星の健康診断、世界は 「危険な新時代 」に突入

地球が人類にとって安全な活動領域をはるかに超えていることが、地球の健康状態をチェックする史上初のプラネタリーヘルスチェックによって明らかになった。 9つのプラネタリーバウンダリー(※人間が地球上で持続的に生存していくためには、越えてはならない地球環境の境界)のうち6つがすでに侵されており、地球の居住性を脅かす危険地帯へとさらに深刻化し続けている。 ※プラネタリーバウンダリーについては、過去の記事を参照ください。 (出典: Planetary Health Check 2024) 本記事は、地球システム科学 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/10/5

気候危機に関する政府へのグローバル投資家声明

2024年9月17日、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP 29)開催に向けた政策提言「気候危機に関する政府へのグローバル投資家声明 2024(2024 Global Investor Statement to Governments on the Climate Crisis)」が発表された。*1 29兆ドル(約4,176兆円)以上の資産を運用する534の機関投資家が署名した新たなグローバル声明が、気候危機に対処するための各国政府の断固とした行動を求めている。 500以上の投資家が署名機関投資 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2024/9/21

石油大手トタル、森林事業への投資拡大

仏石油メジャーのトタルエナジーズ社は、北米の自然を基盤とした解決策を專門とするアニュー・クライメイト社及び米国の大規模森林所有者でもあるオーロラ・サステイナブル・ランドと 1 億ドル(約145億円)の契約を締結し、改良型森林管理によって森林による二酸化炭素の吸収・貯蔵量の増加を目的としたカーボンプロジェクトを展開していく。 トタルの森林投資事業 フランスに本社を置く多国籍企業で、日本ではエンジンオイルのメーカーとして有名なトタルの投資事業は、生産性の高い森林を過剰な木材伐採から保護し、持続可能な管理方法へ ...

© 2024 ThinkESG