WEFのCSO調査、「グリーン分岐」の時代に突入
世界経済フォーラム(WEF)は2026年9月15日、最高サステナビリティ責任者(CSO)のグローバルネットワークの103人への調査をまとめた初の報告書を公表した。6割超がサステナビリティの世界的な前進が今後1年維持か加速と見る一方、政策の反転と短期の業績圧力が最大の制約に挙がり、脱炭素社会への移行は「グリーン分岐」の局面に入ったと位置づけた。AIと気候変動への適応の扱いも焦点となった。*1 103人の回答が映す「実行の局面」 WEFの報告書「Chief Sustainability Officers' O ...
ネパール 洪水の損失・損害と気候正義の論点
2026年8月、ネパールのヒマラヤで氷と岩盤が崩れた。鉄砲水が1,300人を超える命を奪った。ネパールの外相は主要排出国を名指し、援助から正義と補償へと訴えた。だが、危険な場所に築かれたインフラが被害を広げたとの指摘もある。ネパールでは、気候変動の責任と開発の責任が重なる。この災害から、損失・損害基金の現実と気候正義とのギャップを読み解く。 ヒマラヤの崩落が引き起こした大洪水 2026年8月26日午前8時40分、ネパール北部ラスワ郡の上流域で、氷と岩盤が一体となって崩れ落ちた。ICIMODの専門家によると ...
世界の気温上昇1.5℃超過へ、国連環境計画が警告
国連環境計画(UNEP)は新たな報告書「Limiting Overshoot」で、世界の気温上昇が産業革命前の平均に比べて今後数年のうちに1.5℃を超え、最も楽観的なシナリオでも1.8℃でピークに達すると警告した。一方、急速な排出削減と二酸化炭素除去で1.5℃未満へ戻す道は残るとし、ネットゼロは通過点にすぎないと位置づけた。 +1.5℃を超えても「戻る道」は残る UNEPの新たな報告書によると、世界の気温上昇はおそらく今後数年のうちに1.5℃の閾値を越え、人々と生態系はますます危険な影響にさらされる。その ...
ゲイツ氏、AI開発に大幅な制限を提言「制御を失いうる」
マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏は8月26日、6,000語のエッセイで、人工知能(AI)には大幅な制限が必要だと論じた。*1 AI・ロボットへの課税と人間専用の職域の確保を提案し、失業が急増し社会の信頼が損なわれる前に行動する機会が指導者たちにはあると訴える。AIの進歩を世界規模で減速させる計画は現実には成立しないとの見立ても示した上で、社会への重大なリスクを認識し、恩恵が確保されるための移行計画が必要と主張する。ゲイツ氏以外にも、業界リーダーもAIに抑制がかからない時点に突入する手前、国際的な枠 ...
データセンターの間接水消費、直接消費の20倍超
データセンターの水問題は、施設内でサーバーを冷やす冷却水に議論が集中してきた。しかし米国のサステナブル投資団体セリーズの新たな分析は、はるかに大きな負荷が別の場所にあることを示す。データセンターへ電力を送る発電所で使われる水である。米7州の推計値は2024年に3兆4,000億ガロン(約12.9兆リットル)に達した。この水消費量は、ロサンゼルス、フェニックス、ワシントンD.C.の合計の約12倍に当たる。 議論はデータセンターの「施設内の冷却水」に偏っていた データセンターの水使用をめぐる議論は、施設内のサー ...
米国サステナブルファンドの資金流入が4年ぶりプラス転換
2026年第2四半期、米国のサステナブルファンド市場において2022年初め以来となる約4年ぶりのプラスの純資金流入が記録された。14四半期連続の流出を経て約30億ドル(約4800億円)が流入し、資産残高は過去最高の約4000億ドル(約64兆円)に達した。*1 本記事では、この歴史的な転換を牽引した電力インフラ需要、パッシブ戦略の台頭、そして世界市場の動向まで、最新データを網羅して詳細に解説する。 記録的な資産残高と米国市場の転換 2026年第2四半期は、米国のサステナブル投資業界にとって注目すべき瞬間とな ...
「システム・スチュワードシップ」とWBAの統合トランジション評価
かつて、ESG投資判断に欠かせないサステナビリティ・データは財務モデルへの統合や投資テーマへの横断的な統合も不十分であった。しかし、状況は劇的に進化している。これは、サステナビリティ専門家たちが何年もかけて「サステナビリティがいかに企業価値と投融資ポートフォリオの双方にとってのリスクと機会を形成するか」を実証してきた賜物である。未だサステナビリティの意義について説得が必要な層も一部には残るが、先進的な投資家はその段階をとうに過ぎ、すでに具体的な行動へと移っている。「システム・スチュワードシップ」の考え方や ...
テック企業の温室効果ガス排出量、AI開発で大幅増加
アマゾン、グーグル、マイクロソフトがAIやデータセンターの急激な電力需要に対応するため、信頼性の高い電力を迅速に確保・供給する取り組み「スピード・トゥ・パワー」*1には、2025年と2026年だけで合計約7,500億ドル(約123兆円)を投資している。その一方で、各社の温室効果ガス削減目標を覆す事態を招いている。 3社とも、2025年のサステナビリティーに関する最新報告で、温室効果ガス排出量が2桁の増加を記録しており、その主な要因は電力消費にある。電力消費に伴う報告排出量は、アマゾンとグーグルで3分の1以 ...
国連トップがAI企業に環境フットプリントの公表を要求
6月末に開催されたロンドン・クライメート・アクション・ウィークにて、国連は、AI企業に対し、環境フットプリントを「包み隠さず公表する」よう強く求めた。背景には2025年時点でデータセンターの電力消費量が世界の上位10カ国を除くすべての国を上回ったとする国連の最新の調査結果がある。これを受け、グテーレス国連事務総長は、「化石燃料が気候とエネルギーの危機を助長している」とロンドンのイベント中に強調した。本記事では、国連がここまでAIによる環境インパクトに注目する背景について詳しく解説する。 深刻化する気候危機 ...
COP31特集②:「電化するアジア」が覇権を握る
国連気候変動枠組条約第31回締約国会議(COP31)を巡る世界的な電化の潮流において、アジアは極めて重要な鍵を握る。英シンクタンクEmberの革新的レポート「Electric Asia」によると、世界人口の半分を抱え、クリーン技術生産の4分の3を占めるアジアは、現在欧米の5倍の速さで電化を急進させている。致命的な化石燃料不足を圧倒的な技術と国産の自然資源で克服し、電子(エレクトロン)を基盤に「アジアの世紀」を切り拓く同レポートの核心に迫る。*1 COP31が位置づける「電化」 気候変動対策において長年地味 ...









