ブラックロック、ESG株主提案の4%のみ支持
8月、世界最大の投資会社であるブラックロックは、環境および社会問題(ESG)に対処する株主提案への支持を大幅に削減したと報告した。2023年7月から2024年6月まで、同社はそのようなESG株主提案493件のうちわずか4%を支持した。2021年、ブラックロックは株主によるESG議案の47%を支持した時と比べて、賛成票は1割以下まで激減した。*1 これは、持続可能性と社会関連の株主提案の総数が全体的に増加しているにもかかわらずだ。たとえば、米国では、気候変動と自然資本のリスクと、従業員とコミュニティへの企業 ...
豪州、気候関連財務情報開示の義務化法を採択
8月22日、大中規模企業に対する気候変動関連財務情報開示の義務化法案がオーストラリア上院を通過し、同国における新たな気候変動リスク情報開示の枠組み確立に向けた大きな一歩を踏み出した*1。 上院での採決を受け、オーストラリアのジム・チャルマーズ財務相は次のように述べた: 「これらの重要な改革は、投資家や企業がネット・ゼロへの転換を支援するために必要な明確性と確実性を提供し、国際資本にとって魅力的な目的地としてのオーストラリアの評判をさらに強化するものである」 ジム・チャルマーズ財務相 今年初めに発表された新 ...
9割のプラスチックは、実はリサイクルされていない?
世界全体で約90%のプラスチックがリサイクルされていない サステナブル・ファイナンスに特化した非営利シンクタンク、プラネット・トラッカーが行なった最新の調査によると、プラスチック製品が広くリサイクルされているという一般的な認識は誤りであり、実際には世界全体で約90%のプラスチックがリサイクルされていないこと、またプラスチックバリューチェーンに依存している企業の時価総額148社の企業の中に日本企業が7社含まれるという事実が明らかになった。*1 この調査では、プラスチック産業が、プラスチック汚染の解決策として ...
グリーン株、10年間で198%リターン
ロンドン証券取引所グループ (LSEG) のレポートによると、炭素排出削減に役立つ製品やサービスから収益を得る企業を「グリーン・エコノミー企業」というひとつの産業グループとして捉えた場合、過去10年間の業種別の株価値上がり率は2番目に高い実績を記録し、過去10年間のトータルリターンは198%に達したという。 グリーン・エコノミー企業のリターンを上回ったのは、最近では人工知能の飛躍的進歩に支えられ、著しい成長を遂げたテクノロジー業界だけである。 また、グリーン・エコノミー企業の中では、エネルギー管理と効率化 ...
日鉄、気候変動関連の株主提案に対する賛成票が過去最大に
世界第4位の鉄鋼メーカーである日本製鉄株式会社(日鉄)の年次株主総会において、アクティビスト株主や欧州の機関投資家による気候変動に関連する3つの株主提案は否決されたものの、予想以上に大きな支持が集まった。 6月21日に東京都内で開催された同社の第100回定時株主総会での議決権行使の結果が25日に発表された: 【第6議案】21.48%の株主が、一般社団法人コーポレート・アクション・ジャパン(CAJ)と環境NGOオーストラリア企業責任センター(ACCR)が提出した、日本製鉄に対し、スコープ1、2、3 の排出量 ...
グーグル、カーボンフリー・エネルギーで全事業運営、日本国内でも
グーグルは、日本で初めてとなる太陽光発電の電力購入契約(PPA)を2件締結し、日本の送電網に60メガワットのクリーンエネルギー容量を追加する新規太陽光発電プロジェクトの建設を支援すると発表した。*1 この取り組みは、日本国内のデータセンターの運営を支えると同時に、日本が進めるクリーンエネルギー政策にも沿ったものである。 グーグルのコミットメント グーグルによると、この新しい契約は、2030年までに24時間365日カーボンフリーのエネルギー(CFE)で全事業の電力を賄うというグーグルのコミットメントに貢献す ...
バイデン政権、炭素市場への責任ある参加のための7つの新原則を発表
バイデン政権は、自主的な炭素市場に関する7つの新原則を発表し、連邦政府の気候変動アドバイザーや農務省、エネルギー省、財務省の官房長官らが署名した。この原則は、最近論争の的になっている自主的な炭素市場(VCM)への信頼を回復することを目的としている。 5月28日に発表された同原則は、企業のCO2オフセットクレームの信頼性への懸念が出ていることを認めながらも、炭素市場への投資は米国の気候変動目標に向けて「大きな前進をもたらす」ことができると述べている*1。 VCM市場では、企業が新たに植林するなど、温室効果ガ ...
グローバルEV市場、欧・中先行からマス市場へ
世界における電動モビリティの最新動向を特定・評価する年次刊行物である「グローバルEVアウトルック」の2024年版が国際エネルギー機関(IEA)から発行された。*1 本レポートでは、過去のデータ分析と2035年までの予測を組み合わせ、主要市場や新興市場における電気自動車や充電インフラの導入、バッテリー需要、投資動向、関連政策の進展など、注目すべき主要分野を検証している。また、電気自動車の普及が電力や石油の消費、温室効果ガスの排出にどのような影響を与えるかについても考察や、電気自動車のリーズナブルさ、中古市場 ...
2024年総会シーズン、気候変動関連の株主総会決議に注目
毎年4月から5月にかけて米国で、そして日本では6月頃に、多くの大企業が年次株主総会を開催する。総会では、株主が取締役会専任議案に対する賛否や、サステナビリティ課題に関する懸念やその他の重要事項に関する決議を行う機会である。 2024年の総会シーズン、株主は金融機関やその他の炭素集約型企業に対し、気候変動関連の情報開示を強化し、世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えるという世界的目標を達成する道筋と整合する事業戦略を求めている。 国際エネルギー機関(IEA)によれば、2050年までに世界の気温上昇を1.5 ...
東南アジアのグリーントランジションがもたらす投資機会
世界的な経営コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーやシンガポールの政府系投資会社テマセクとその脱炭素投資に特化した戦略子会社ジェンゼロ(GenZero)、英銀行グループスタンダード・チャータードによって、「東南アジアのグリーン経済2024」という新たなレポートが発行された。*1 同レポートによれば、東南アジアは、脱炭素社会の実現と持続可能な経済発展を両立させるために、グリーントランジションがもたらす絶好の機会をつかむことが重要だ。脱炭素化に資する実行可能で投資可能なビジネス機会を拡大することで、2 ...