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変動の激しい2025年において、ESG投資は回復力と進化を示した。グリーン経済への政策支援の一部打ち切りなどで減速のおそれがあった一方で、人工知能(AI)の電力需要拡大が再生可能エネルギーの追い風として浮上した。地政学的な不確実性が残る中、2026年はESG・サステナブル投資にとって今後どのような意味を持つのか?本稿では、複数の機関投資家や投資アナリストの予測に基づき、2026年のESG投資を形作る可能性が高い7つのトレンドをご紹介する。
1. 現実主義と実用主義
地政学的緊張、ESGへの反発、政策進捗の不均一さの中で、サステナブル投資はより現実的で実用的な方向へシフトしている。
2025年には新たな基準が登場し、戦略が再定義され、適用範囲が拡大され、成長機会、安全性、レジリエンスを軸にESGのストーリーが再構築された。2026年は、業界がESG・サステナブル投資の具体的な価値を実証し、イノベーションを推進することが最優先課題となるだろう。
モーニングスター*1によれば、2025年は同社が2018年にこの分野の追跡を開始して以来、世界的なESG重視のオープンエンド型ファンドおよび上場投資信託(ETF)において、初めて(ただし小幅ながら)年間純流出を記録した。しかしESGファンドの総資産は依然として高く、9月末時点で世界全体で3.7兆ドル(約58兆円)に達している。欧州ではESGファンドが全ファンドの20%を占める一方、米国ではわずか1%であり、その他の地域でもシェアは様々である。
しかし最近の調査は、サステナブル投資の明るい未来を示唆している。モルガン・スタンレー・サステナブル投資研究所の調査*2 によると、世界の個人投資家の88%がサステナブル投資に関心を示しており、ポジティブな成果への支援と競争力のあるリターンの可能性を理由に挙げている。若年層の関心が最も高く、彼らの経済的影響力が拡大するにつれ、サステナビリティがさらに重要な焦点となることを示唆している。同様に、資産所有者の86%が今後2年間でサステナブル投資への配分を増やすと予想しており、最近の政治的逆風もESG投資への世代的な移行を覆すことはないことを示している。
2. 未開拓の価値を創出する真のポートフォリオ脱炭素化
単に低排出企業を優遇するのではなく、真のポートフォリオ脱炭素化を優先する体系的な株式戦略は、価値創出の未開拓の可能性を依然として秘めている。ロンバード・オディエ*3によれば、信頼性の高い科学的知見に基づく目標を設定した企業は、特に脱炭素化のリーダー企業が台頭する高炭素セクターにおいて、競合他社に対して一貫して超過リターンを達成している。低炭素株の機会は減少傾向にあるものの、この乖離は急速な脱炭素化に取り組む多排出企業への注力の必要性を裏付けている。ネットゼロ導入が世界的に加速し、新興市場でもエネルギー転換が勢いを増す中、このアプローチは2026年も強力な価値創出源であり続けるだろう。
3. 気候変動適応への焦点
ネガティブな報道や一部の後退にもかかわらず、気候変動は2026年に投資家の優先課題としてさらに重要性を増す見込みだ。脱炭素化への注目は継続する一方、気候変動による物理的リスクと適応策への関心が高まるだろう。
地球温暖化を安全な水準に抑えるために必要なペースで緩和策が加速しない中、企業や投資家は温暖化した世界やより極端な気象現象への適応の緊急性をますます認識している。これには物理的気候リスクのより適切な評価が求められる。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス*4によれば、2024年だけで暴風雨、火災、その他の自然災害が世界の主要経済国に1.4兆米ドル(約220兆円)の損害をもたらした。こうした影響を最小限に抑える適応策には、防潮堤から種子科学に至るまで、数兆ドル規模の投資が必要となる。現在、世界が支出しているのはそのごく一部に過ぎないが、気候変動適応のビジネスケースが浮上し始めている。気候被害は既に現実のものとなっており、適応の必要性は排出削減を諦めることではなく、賢明なリスク管理である。
インフラ、水管理、医療、農業、保険など幅広い分野にまたがる機会を特定する枠組みも開発中だ。建設、建材、冷暖房など適応産業110社を追跡するブルームバーグ・インテリジェンスの「プリペア・アンド・リペア」トラッカーは、
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