環境経営

アジア太平洋地域では、低炭素ビジネスを展開する企業が急速に増えている。しかし、一般的な株価指数はそうした「グリーン経済」の実態を十分に反映していない。Corporate Knightsが発表した最新ランキングは、そのギャップを浮き彫りにした。アジアのグリーン企業はどの分野で成長しているのか、そして投資家は何を見落としているのか。本記事ではその全体像を整理する。

アジア太平洋のグリーン先進企業が浮かび上がる

アジア太平洋地域には、世界でも特に意欲的な低炭素企業が数多く存在している。一方で、一般的に使われているアジアの主要株価指数は、そうしたグリーン経済の実態を十分に映し出していない。こうした問題意識のもと、Corporate Knightsは、アジア太平洋地域でグリーン転換を主導する企業50社をまとめた新ランキング「Asia Pacific 50 Most Sustainable Corporations」を公表した。*1

このランキングは、東半球における多様なサステナビリティ産業の特徴を可視化している。たとえば、中国ではグリーン金融と電気自動車、インドでは風力発電、ニュージーランドでは水力発電、台湾では先進的な高速鉄道が存在感を示している。地域ごとに異なる産業構造を持ちながらも、低炭素化に向けた事業基盤が広がっていることが、このランキングから読み取れるのである。

Corporate Knightsのランキング責任者であるマイケル・ヨウ氏によれば、同ランキングに掲載された企業の平均サステナブル収益比率は65.5%であった。これに対し、S&P Asia 50指数に連動するiShares Asia 50 ETFの平均サステナブル収益は3.8%にとどまっている。

ヨウ氏は、この大きな差について、従来型の大型株ベンチマークを利用する投資家が、持続可能な経済活動から収益を生み出す企業への投資が著しく不足している可能性を示していると述べている。アジア企業において、サステナビリティ関連のリスクと機会の重要性が高まっているにもかかわらず、一般的な指数を通じた投資では、その変化を十分に捉えられていないという指摘である。

ランキングはどのように作成されたのか

このランキングを作成するにあたり、Corporate Knightsの研究者は、売上高10億米ドル(約1,550億円)超の上場企業を対象に、サステナビリティ・パフォーマンスに基づいて評価を行っている。分析の中心にある問いは3つである。すなわち、企業の投資はどの程度サステナビリティに向けられているのか、サステナブル収益はどこから生まれているのか、そしてサステナブル収益はどの程度の速さで成長しているのか、という問いである。

これらの問いに答えるため、Corporate Knightsは3つの指標を同じ重みで用いている。

  1. 持続可能な製品・サービスから得られる収益の割合
  2. 持続可能なプロジェクトに向けられた投資の割合
  3. 「サステナブル収益モメンタム」:これは2022年から2024年までのサステナブル収益の年平均成長率を示している

このうちサステナブル収益モメンタムは、今年から新たに導入された指標である。背景にあるのは、エネルギー転換とグリーン経済への移行に対する時間的な切迫感である。単に現時点でサステナブル収益の比率が高いかどうかだけでなく、その収益がどれだけの勢いで伸びているかも評価しなければ、移行の実態を十分に把握できないという考え方が反映されている。

加えて、企業はCEO報酬をサステナビリティ目標と連動させている場合、最大5%の加点を受けることができる。一方、法的制裁や職場での死亡事故があった場合には、それぞれ最大5%の減点が行われる。さらに企業は64の業界グループごとに同業他社と比較される仕組みになっており、単純な横並びではなく、業界特性を踏まえた評価がなされている。

2026年ランキング首位の鉄道会社

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