環境経営

11月10日からブラジルのアマゾン熱帯雨林に囲まれるベレン市で開催される国連気候変動会議COP30では、気候変動の最大の原因である化石燃料の使用削減と重要な解決策の一つとされる生態系の再生が注目テーマとなる。しかし、COP30に先立ち、環境NGO「Stand.earth」が公表した調査報告書によると、2024年1月以降にアマゾン熱帯雨林内で行われた石油・ガス採掘事業への大手銀行の直接融資が20億ドル(約3,000億円)に上る。脱炭素社会への道のりがやばめられる中、金融業界の社会的責任に再び焦点が当たる。*1

アマゾン開発への融資が再燃

同調査は、パリ協定発効以降に330銀行が関与した843件の化石燃料関連取引(総額約2兆2500億円超)を対象に分析したものであり、そのうち約2割が2024年から2025年夏にかけて実施されたものである。

一方、欧州勢の銀行は方針改善が進み、HSBC、サンタンデール、BNPパリバなどは取引を大幅に削減。これに対し、米国銀行(上位3社:JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ)は依然として業界支援を維持または増加させており、地域ごとの差が浮き彫りとなった。ブラジルのイタウ銀行(Itaú Unibanco)は、同国企業エネーバ(Eneva)への融資を通じ、2024〜2025年にアマゾン油・ガス最大の資金提供者となった。また、スコシアバンク、クレディコルプ、トラフィギュラ、バンコ・インテルアメリカーノ・デ・フィナンサスなども資金を拡大したとされる。日本のメガバンク3社(みずほFG、三井住友FG、MUFG)も2024−2025中に、調査対象となったアマゾン地域で化石燃料開発に関わる企業やプロジェクトに資金を提供しているトップ銀行のうち、13位、23位、31位のポジションを占めており、無関係ではない*2。

主要なアマゾン油・ガス企業

アマゾン熱帯雨林での石油・ガス開発を主導する企業は、南米や国際市場の大手エネルギー企業であり、先住民族の居住地や生物多様性の高い地域に深く関与している。これらの企業は、各国政府や国際銀行からの融資を受け、環境破壊や人権侵害の懸念を伴いながら事業を拡大している。*2

  • Eneva S.A.(ブラジル)

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2025/11/9

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2025/11/7

食べ続ける限り決して排出ゼロにはならない

医学誌『ランセット(The Lancet)』に掲載された最新の調査報告書によると、2050年までに推定100億人の人口を養うための持続可能な食料システムにへ転換しても、農業の温室効果ガス排出量を半減させられる一方で、「人類に食料を届ける限り、温室効果ガスの排出を完全にゼロにすることはできない」と結論づけた。*1 食料生産には避けられない環境コスト EAT-ランセット委員会(EAT-Lancet Commission)による本報告書は、35か国70名の食料・気候科学者によって作成された国際的研究である。報告 ...

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2025/10/25

世界で注目が高まるネイチャーテックを徹底解剖

2025年10月17日、東京国際フォーラムで「NATURE TECH!」が開かれた。技術革新と自然再生を結びつける取り組みが紹介され、世界で注目が高まるネイチャーテックの動向が共有された。投資規模は約3000億円に拡大し、衛星やドローンによる自然の計測技術や、熊本など地域単位で自然を守る取り組みの重要性が示された。日本は今後、自然計測の国際標準化を主導していく方針を掲げている。*1 ネイチャーテックとは? ネイチャーテック(Nature Tech)とは、自然を測定・評価・再生・活用するための技術群である。 ...

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2025/9/29

COP30国連気候サミットを前に各国が新たな気候目標を提出

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2025/9/28

SBTIや国連で、自然に基づく解決策を排除する動きに科学者が反論

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EU、2040年温室効果ガス90%減、約4億トンの炭素クレジットの活用も

7月に、欧州委員会は1990年を基準年とする2040年までのEU全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減目標を90%と提案した。これは、EUの2030年排出量削減目標55%と2050年までのネットゼロ目標の中間的な重要なマイルストーンとなる。新たな2040年目標には一定の柔軟性が組み込まれており、パリ協定に準拠した国際的な炭素クレジットの限定的な使用を認めている。本記事では、この目標が投資家と産業に与える影響を詳しく分析する。 2030年と2050年の気候変動目標とは異なり、提案された2040年気候目標に ...

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