気候変動

アジアの投資家は、アジアのエネルギー転換がもたらす有利な投資機会をどのように捉えているのか。気候変動に関するアジア投資家グループ(AIGCC)が2024年4月に発行したレポート「アジアにおけるネットゼロ投資の現状」では、気候変動のリスクと機会をどのように投資判断に組み入れているのかについて運用総額7,600億ドル(約114兆円)を誇る200以上の機関投資家に聞いた。*1

世界の電力消費の半分を占めるアジア

クリーンエネルギー・サプライチェーンへの投資は、2023年に世界で1,350億ドル(約20兆2,500億円)に達し、2025年には2,590億ドル(38兆8,500億円)に増加する可能性があり、非常に大きく成長している市場のひとつである。*2

世界のエネルギー転換をめぐる投資戦争の鍵を握っているのは、アジア地域である。現在、世界人口の59%をアジアが占めており、温室効果ガスの排出量の3分の1以上を占めている。2025年までに、アジア経済は世界の電力消費の半分を占めるようになると予想されている。アジアが成長していくために、誰が、何の燃料を消費するかに注目が集まっている。

気候変動は重要なリスクと機会

AIGCCの調査によると、現在、アジア全域の200以上の投資家のうち、約70%という圧倒的多数が、気候変動を重要なリスクと機会の源泉であると公に認識している。また、アジア地域のエネルギー転換への投資機会を得るために、水面下で着々と競争が繰り広げられている。

化石燃料からの脱却を支える再エネ開発及びトランジション投資

しかし、投資家は、世界的な気候変動目標に沿って気候変動リスクと機会を効果的に管理するという課題に直面している。*3

というのもアジアのエネルギー需要の70%以上が依然として、化石燃料で賄っている。ネットゼロ(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の目標を達成するためには、再生可能エネルギーへの迅速な移行を図るための政策、投資家の関与と政策立案者との協力が鍵となる。

しかし、AIGCCの報告書によれば、全体として、アジアにおいて化石燃料の段階的削減や移行ファイナンスに関する戦略や方針を確立している投資家はまだ一部にとどまる。200以上の投資家のうち、化石燃料に関する投資方針を策定してるのは、資産運用会社の24%、アセットオーナーの19%であった。

アジアには、中国を筆頭に、世界で最も急速に成長している自然エネルギー開発企業が存在する。将来の電力供給に関する手駒を有利に進めるために、金融機関には、以前とは異なるアプローチが求められる。

投資家は、エネルギー転換を加速させる力を持っている

AIGCC調査対象者の78%が、アクティブ・オーナーシップ(積極的株主行動)を戦略の主要な構成要素としている。アクティブ・オーナーシップとは長期的な株主価値の維持および長期的なリターン向上のため、環境・社会・コーポレートガバナンスに関する課題について投資先企業と議論することを指す。

さらに、調査対象の投資家の72%が、ポートフォリオ構築においてネガティブ・スクリーニングを利用していると回答している。このスクリーニングは、ESGに関する評価基準を定め、基準に満たない国・セクター・企業等を投資対象から除外する投資手法のことを指す。*4 投資家は、環境(または関連)フットプリントが大きすぎて許容できないと判断した銘柄や資産を避けながらポートフォリオを構築する。調査に参加したシンガポールの政府系ファンドGICとオーストラリアの年金資産運用会社アウェア・スーパーの取り組み事例を紹介する。

GIC:シンガポールの政府系ファンド

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