世界経済フォーラム年次会合(Davos 2022)が5月22~26日にかけてスイスのダボスで開催された。世界各国の大手企業CEOや政治家などのグローバルリーダーが集まった場で、重工業と長距離輸送部門の脱炭素化を目指す官民連合「ファースト・ムーバーズ・コアリション」に、50社以上が加わったことが発表された。
民間企業リーダーとともに、デンマーク、インド、イタリア、日本、ノルウェー、シンガポール、スウェーデン、英国は、政府パートナーとしてイニシアチブの発足者である米国に加わり、主要9カ国が政策措置などを通じてクリーンテクノロジーの早期市場創出を目指すと発表した。
5大陸で約8.5兆ドルの時価総額を誇る55社の企業は、2030年までに限りなく炭素排出量ゼロに近い鉄鋼、アルミニウム、船舶、トラック輸送、航空、および高度な二酸化炭素除去ソリューションについて前例のない事前購入を約束し、新興クリーンテクノロジーの商業化に向けた史上最大の市場シグナルを発信している。
今回のダボス会議では、アルミニウムと二酸化炭素の除去という2つの新しい部門の取り組みが立ち上がった。
- アルミニウム:フォードモーターカンパニー、ノベリス、トラフィグラ、ボルボグループを含む参加企業は2030年までに、アルミニウムの一次購入量の少なくとも10%を炭素排出量ゼロに近いものにする。
- 二酸化炭素の除去:アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、セールスフォースは2030年までに5億ドルの炭素除去を、ボストンコンサルティンググループは2030年までに10万トンの炭素除去の購入をコミット。
世界経済フォーラムと米国政府が主導するファースト・ムーバーズ・コアリションは、アルミニウムと二酸化炭素除去の部門以外に、航空、化学、コンクリート、海運、鉄鋼、トラック輸送など、世界排出量の30%を占めるセクターを対象としており、この割合はクリーンテクノロジーの革新が緊急に進展しなければ今世紀半ばには50%を超えると予想されている。
低炭素技術の早期商業化に向けて市場を活性化させるために、コアリションのメンバーは、産業用材料と長距離輸送の総支出のうち、割高でもゼロに近い、またはゼロカーボンのソリューションを使用しているサプライヤーから一定割合を購入することを約束している。この10年間に十分な数のグローバル企業が、将来の購入額の一定割合をクリーンテクノロジーに振り向ければ、市場の転換点が生まれ、その結果、クリーンテクノロジーの価格が上昇し、産業のバリューチェーン全体で長期的なネットゼロの変革が推進されることになるという。
「ファースト・ムーバーズ・コアリション」は、3つの次元にまたがる大きな展開を開始した。
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