国連

6月末に開催されたロンドン・クライメート・アクション・ウィークにて、国連は、AI企業に対し、環境フットプリントを「包み隠さず公表する」よう強く求めた。背景には2025年時点でデータセンターの電力消費量が世界の上位10カ国を除くすべての国を上回ったとする国連の最新の調査結果がある。これを受け、グテーレス国連事務総長は、「化石燃料が気候とエネルギーの危機を助長している」とロンドンのイベント中に強調した。本記事では、国連がここまでAIによる環境インパクトに注目する背景について詳しく解説する。

深刻化する気候危機と「二つの危機の物語」

ヨーロッパがここ数ヶ月で2度目の熱波に見舞われる中、アントニオ・グテーレス国連事務総長はロンドン・クライメート・アクション・ウィークにおいて演説を行った。彼は、観測史上最も暑い11年間を経験したばかりの地球の過酷な状況を浮き彫りにし、「気候の混乱は私たちの目の前で加速している」と警鐘を鳴らした。同時に、中東での戦争によって煽られたエネルギー危機が「化石燃料に依存する世界の愚かさを露呈させている」と指摘している。*1

グテーレス氏は、19世紀のイギリスの作家チャールズ・ディケンズの『二都物語』を引用し、「私たちの世界が『二つの危機の物語』に直面していることは明らかだ」と述べた。政策立案者や企業幹部・NGOが集まるロンドンの会議において、彼は「表面上、これらの危機は別々のものであるように見えるかもしれない。しかし、それらは同じ破壊的な起源、すなわち化石燃料を共有している」と語り、化石燃料がいかに気候とエネルギーの危機を助長しているかを強調した。

「AI環境透明性イニシアチブ」のローンチ

このような状況下で、2026年12月31日に事務総長の任期を満了するグテーレス氏は、「AI環境透明性イニシアチブ」を提案した。同イニシアチブは、

ここから先は「ThinkESG プレミアム」会員限定の
コンテンツです。

4つの特典が受けられる「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」の詳細についてはこちらをご覧ください

「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」へはこちらからお申し込みいただけます

「ThinkESG プレミアム」会員の方はログインしてください。

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2026/7/13

国連トップがAI企業に環境フットプリントの公表を要求

6月末に開催されたロンドン・クライメート・アクション・ウィークにて、国連は、AI企業に対し、環境フットプリントを「包み隠さず公表する」よう強く求めた。背景には2025年時点でデータセンターの電力消費量が世界の上位10カ国を除くすべての国を上回ったとする国連の最新の調査結果がある。これを受け、グテーレス国連事務総長は、「化石燃料が気候とエネルギーの危機を助長している」とロンドンのイベント中に強調した。本記事では、国連がここまでAIによる環境インパクトに注目する背景について詳しく解説する。 深刻化する気候危機 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム ThinkESGプレミアム会員限定

2026/7/8

COP31特集②:「電化するアジア」が覇権を握る

国連気候変動枠組条約第31回締約国会議(COP31)を巡る世界的な電化の潮流において、アジアは極めて重要な鍵を握る。英シンクタンクEmberの革新的レポート「Electric Asia」によると、世界人口の半分を抱え、クリーン技術生産の4分の3を占めるアジアは、現在欧米の5倍の速さで電化を急進させている。致命的な化石燃料不足を圧倒的な技術と国産の自然資源で克服し、電子(エレクトロン)を基盤に「アジアの世紀」を切り拓く同レポートの核心に迫る。*1 COP31が位置づける「電化」 気候変動対策において長年地味 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2026/7/5

COP31特集①電化率35%目標と、地政学的対立の現状

2026年6月9日、ドイツで開催された国連気候変動会議第31回(COP31)の準備会議において、脱炭素化の切り札とされる「電化」の世界的な新目標が浮上した。 毎年ドイツのボンで開催される会合は、年次の国連気候変動サミットのほぼ中間点に位置し、今年の11月のCOP31に向けた土台を築くための重要な準備協議としての役割を担っている。本記事では、電化がもたらす莫大な経済効果から、国際交渉の裏で渦巻く地政学的な対立や気候資金の壁まで、議論の全貌について解説する。 国連気候変動枠組条約第31回締約国会議(COP31 ...

ESGブログ・意見 ThinkESGプレミアム会員限定

2025/12/21

自然に経済的価値を与える「ネイチャークレジット」の新潮流

ネイチャークレジットとは 地球規模で自然環境の劣化が進むなか、自然を保全し再生する取り組みをどのように経済活動と結びつけるかが世界共通の課題となっている。現在、その解決策として注目されているのが「ネイチャークレジット」である。これは、生態系の回復、森林再生、湿地保全といった自然環境の回復に寄与する「ネイチャーポジテイブ」成果を、測定可能で検証可能な単位として発行する仕組みであり、自然に対して経済的価値を与える新たな金融手法である。 今回のThinkESGブログでは、自然分野をリードする専門家であり、生物多 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2025/11/29

COP30ベレン会議が示した成果と深まる国際的対立

国連気候変動会議COP30はブラジルで開催され、18時間超の延長協議の末に合意へ到達したものの、化石燃料削減の新たな約束は盛り込まれなかった。最終文書からは「化石燃料からの移行」の文言が削除され、適応資金や実施面でも対立が表面化し、多くの国が失望を表明した。一方で、脱炭素社会への移行への協力継続や適応分野での前進も示され、議論はCOP30後も続く見通しである。 COP30閉幕に見る化石燃料論争と残された国際的課題 COP30気候サミットが、2025年11月10〜21日にブラジル・パラー州ベレンで開催され、 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2025/11/24

UNEP、各国の新NDCは温暖化抑制に「ほぼ寄与せず」と警告

世界の温室効果ガス排出量は増加を続け、各国の気候変動計画は依然として必要な削減水準に届いていない。今年ブラジルのベレン市で開催された国連気候変動会合COP 30に先立ち公開された国連環境計画(UNEP)の最新報告書は、各国が提出した新たな気候変動計画が温暖化を抑制する上でほとんど影響を与えていない現状を明確に示した。UNEPは現行政策と国際的な温暖化対策目標との間に存在する深刻な排出ギャップの実態を、改めて世界に突きつけている。*1 「国が決定する貢献」の弱さが浮き彫りに UNEP のインガー・アンダーソ ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2025/9/29

COP30国連気候サミットを前に各国が新たな気候目標を提出

11月10日からブラジル・ベレンで開催される国連気候変動会議COP30まであと数週間となり、各国は2035年までの新たな気候変動対策目標の提出を急いでいる。 しかし、それらは壊滅的な気候変動を防ぐのに十分になるだろうか?日本以外の主要国の現状の国別目標の提出状況や進展について、本記事でピックアップする。 「これ以上の危機はない」と国連高官はニューヨークでの国連気候サミットを前に記者団に語った。過去数ヶ月の夏だけで、大規模な洪水、干ばつ、長期化する熱波など、数々の異常気象が各地の人々を襲った。気候災害は「あ ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定 カーボンクレジット

2025/9/28

SBTIや国連で、自然に基づく解決策を排除する動きに科学者が反論

気候科学者の連合は、気候変動に関する国際枠組みから自然を基盤とした気候変動対策(NCS)を排除する制約的な政策の再考を世界の政策立案者に強く求めている。こうした排除は緊急に必要な温室効果ガス排出削減を遅らせる恐れがあると警告している。*1 企業の科学的根拠のある温室効果ガス排出量削減目標設定を推進するSBTi(Science Based Targets Initiative)と国連パリ協定第6条4項監督機関宛ての書簡*2で、40名以上の科学者らは「自然に基づく解決策」を永続性が欠如しているとして不当に軽視 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2025/8/5

国際司法裁判所の勧告的意見:各国政府には気候変動による被害を防ぐ法的義務がある

2025年7月24日、国際司法裁判所(ICJ)は、国家の気候変動に関する義務について初めての勧告的意見を示した。国連総会の要請により発出されたこの意見は、国家が気候危機に対して負う法的責任を詳細に明らかにしたものであり、パリ協定以来、国際気候法における最も重要な進展である。ICJは、気候変動を「存在に対する脅威」と明確に位置付け、国家の義務はもはや努力目標ではなく、法的拘束力を持つ実効的な責任であると断言した。*1 本記事では、ICJがどのような法的根拠に基づいて各国の義務を定義したのか、なぜこの意見が国 ...

ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

2025/8/3

ブラジルの国会が「環境破壊法案」を可決、重大な環境後退に

ブラジル議会が、ブラジルの環境許可制度を弱体化させる法案を7月17日の未明に可決した。この法案は、自己承認型の許可制度を導入し、決定権を地方の政治家に委ねる内容となっている。 新法は、鉱山ダムなどの大規模企業に対する重要な影響評価を緩和し、数百の先住民と国の奴隷文化の最後の痕跡であるキロンボラコミュニティを脅かす可能性がある。 この法案の可決は、ルラ大統領と右派主導の国会との間の継続的な政治危機の真っ只中で行わた。NGOや環境保護団体はこれを「環境破壊法案」と称し、過去40年間で最も重大な環境後退と位置付 ...

© 2026 ThinkESG