【COP28連載③】世界の化石燃料生産計画、パリ協定と矛盾する
11月8日、国連環境計画(UNEP)などが2023「生産ギャップ報告書」を発表した。*1 報告書によれば、2030年時点での化石燃料生産量の予測は、パリ協定の1.5度目標を達成するシナリオ値の2倍であり、適切かつ公平なエネルギー転換に疑問が生じている。今月末、11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が実施されるが、化石燃料の段階的な廃止がどのように各国首脳らに議論されるか注目される。 「生産ギャップ報告書」とは この報告書は2019年に初めて ...
【COP28連載②】世界のCO2排出量は2030年までにわずか2%減少 - 国連
国連は11月12日に発表した最新の報告書で、各国の気候変動対策計画では、2030年までに二酸化炭素排出量を2019年のレベルからわずか2%削減すると推定し、温暖化を1.5℃に抑えるために必要な43%の削減にはほど遠いと警告した。 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の事務局長サイモン・スティール氏は、毎年恒例の気候変動に関する評価で、世界はパリ協定の目標達成から「大きく外れている」と指摘し、今月ドバイで開催される国連気候変動会議(COP28)で、すでに増加する洪水、熱波、暴風雨に悩まされている世界にとっ ...
COP28連載①:IKEAやボルボを含む130社が化石燃料の段階的廃止を要請
IKEA、ボルボを含む130以上の企業が、各国政府の首脳に対して、化石燃料の段階的な廃止を求める共同書簡を発表した。*1 11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで行われる国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC COP28)では、各国首脳らが気候変動対策を巡って議論するが、それに先立つ気候変動に対する世界的な取り組みの一環として注目を集めている。 大企業が一団結して動き出す 2023年10月23日、ボルボ、IKEA、ユニリーバ、ネスレ、アストラゼネカを含む130以上の企業が、今後の ...
気候テック投資、四半期で63%急増
テクノロジーで気候変動対策に取り組む「気候テック」企業は、この2年間で最も資金調達に成功した四半期となり、脱炭素化や低炭素化に取り組む様々なスタートアップに対して166億ドル(約2兆4800億円)の投資を獲得した。 2023年第3四半期(7−9月)を対象とし、11月2日に発表されたブルームバーグ・ニューエネルギー・ファイナンス(BNEF)のレポートは、エネルギー、運輸、建設、産業、農業など様々な分野にまたがる気候変動対策に資する技術の包括的なレビューを提供している。また、それらの分野への投資も追跡しており ...
リチウム vs ナトリウム、次世代電池🔋の勝者は?
現在リチウムや他の電池材料の供給が限られており、価格も高いことから、代替電池の研究が進められている。ナトリウムイオン電池は、現在最も開発が進んでいる技術のひとつであり、近い将来、多くの用途で実用できる可能性がある。しかし、新しい電池技術の商業化を成功させるには何年もの研究が必要である。それに加えて需要が加速しているため、中期的な将来には電池が不足するリスクがある。 ナトリウムイオン電池技術は商業的に利用可能 中国の寧徳に本社を置く世界最大級のリチウム電池メーカーであるCATL*1は、乗用車用EVに使用され ...
化学物質管理の新たなグローバル・フレームワーク策定
ドイツ西部のボンにおいて9月末に開催された第5回国際化学物質管理会議にて、化学物質に関するグローバル・フレームワーク(Global Framework on Chemicals)への世界的な合意が形成された。同枠組みは化学物質と廃棄物の健全な管理を改善することを目的とした28の目標に基づいており、国際連合環境計画(UNEP)*1は、このグローバル・フレームワークに歓迎の姿勢を見せ、すべての人々にビジョンの達成のための努力を呼びかけている。日本政府が新たな枠組みにおけるアジア・太平洋地域の地域フォーカルポイ ...
IEAネットゼロ・ロードマップ:再エネが地球温暖化の救世主に?
国際エネルギー機関(IEA)は9月26日、「ネットゼロ・ロードマップ」(*1)を発表した。このレポートは、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えるために、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にするための今後の道筋を示すものである。本レポートは、2021年に発表されたものの改訂版で、コロナ禍後の景気回復や、一部の再生可能エネルギー技術の驚異的な成長など、過去2年間のエネルギー情勢の大きな変化を盛り込んでいる。*2 本レポートによると、再生可能エネルギーの急成長が、世界の ...
クライメート・ウイークNYC:5つの主要テーマ
9月末に閉幕したクライメート・ウイークNYCは、毎年開催される国連気候変動会議に続く、世界のビジネスリーダーや専門家が脱炭素社会の実現に向けたソリューションを話し合う世界最大級のイベントである。 5日間で400のセッションがNYC内で開催された。企業、大学、国際機関などが主催したイベントでは、議論の中心となった5つの共通のトピックスが共有され、それらの議論を本記事でピックアップする。 5つの主要テーマ 生成AI+テクノロジー カーボン・データと金融 透明性 ガバナンス パートナーシップ 1. 生成AIは気 ...
EU、グリーンウオッシュを巡る新規則
欧州議会と欧州理事会は、誤解を招くような広告を禁止し、消費者により良い製品情報を提供するための新たな規則について暫定合意に達した。 この合意では既存のEUの禁止商慣行リストに、グリーンウォッシュ*1 をはじめとした問題性の高いマーケティング習慣を追加した。新規則の目的は、誤解を招くような誇大表現から消費者を保護し、消費者がより良い購買選択をできるようにすることである。 欧州議会と欧州理事会は、以下の行為を禁止するとに合意した。 「環境にやさしい」「自然」「生分解できる」「気候変動対策」「エコ」など謳ってい ...
「プラネタリーバウンダリー」地球環境の境界~9つ中6つがすでに限界越え~
2023年9月に発表された調査報告書(*1)にて、人間が地球上で持続的に生存していくためには、越えてはならない地球環境の境界(プラネタリーバウンダリー)の9つのうち、すでに6つが限界を越えており、地球が人類にとって安全な領域から大きく外れていることが示唆された。 プラネタリー・バウンダリーとはストックホルム・レジリエンス・センター所長ロックストロームらにより開発された概念で、現在人類が地球システムに与えている影響の状態を表す。*2 この報告書が示す発見や考察について本記事で説明する。 プラネタリー・バウン ...